「文明開化とアンティーク 霧島堂古美術店」1巻 浅田京麻 

「文明開化とアンティーク 霧島堂古美術店」1巻 浅田京麻 の感想です。

文明開化とアンティーク~霧島堂古美術店~ 1 (プリンセスコミックス)文明開化とアンティーク~霧島堂古美術店~ 1 (プリンセスコミックス)
(2014/02/14)
浅田 京麻

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大好物の明治時代を舞台とした漫画です。やった!

〈あらすじ〉
舞台は明治26年。芳野結子(よしのゆいこ)は知り合いから借金をしてまで買った、雪舟の水墨画の鑑定のために横浜の霧島堂古美術店を訪れる。
すると中から出てきたのは霧島ミハル(きりしまみはる)という異人の血を引く若い鑑定士。彼が店主だという。
鑑定の結果、水墨画はずばり贋作。結子は騙されて偽物を買わされてしまったのだった。
勤めていた洋服店の店主は夜逃げし、偽物を売った知り合いは逃亡、無一文で借金を抱え、勤め先もなくなり結子には不幸が続く。
結子は借金取りに遊郭へ売られそうになるが、間一髪ミハルが助け、彼の友人・薬師蜜悟の鶴の一声でミハルが結子の借金を肩代わりしてくれることとなった。
結果、結子は借金を返すために霧島古美術店で売り子兼メイドとして働くこととなり、古美術の世界に飛び込んでいく。

〈主な登場人物〉
・芳野結子(よしのゆいこ)
主人公。かつて洋服店で働いていた時に培われた物怖じしない接客をミハルに見込まれ、霧島古美術店で売り子兼メイドとして働くこととなる。
正義感が強く、素直な性格。困っている人がいると放っておけないような・・・。
ミハルの助手として、今は修行中の身。
髪飾り等の小間物をじっと眺めているのが好き。

・霧島ミハル(きりしまみはる)
横浜にある霧島古美術堂の若き店主兼鑑定士。若いながらもその鑑定の腕は確か。
ズバッと物を言う、ドSな性格。だけれど、困っている結子を助けたりと優しく穏やかな一面も持つ。
アメリカ人の父と日本人の母を両親に持つが、訳あって霧島の家に養子として引き取られたという経緯がある。
異人の血を感じさせる青い瞳が印象的。
物が持つ人の情念を視ることのできる不思議な力を持つ。
語学が堪能であり、霧島古美術堂は外国人客が多い。

・薬師蜜悟(やくしみつご)
ミハルの腐れ縁な友人。
文部省役人。ミハルに結子の借金の肩代わりの提案をした張本人。
軟派な性格で、女好き?
結子のことがお気に入り。

・高上馨(たかがみかおる)
ミハルの腐れ縁な友人。
神奈川県警察部の九等警部。
誠実そうな好青年。ちょっと天然?

〈各話感想〉
・第1話
結子とミハルの出会いの話。
結子は知り合いの古淵に騙されて偽物つかまされるわ、仕事を失うわ、借金を背負うわで物語開始直後で不運続き過ぎです。
ミハルは物言いはきついですが、基本は良い人ですね。
結子もなかなか肝の座った性格で、店で雇ってもらうために見事な接客術を披露。自分を売り込むのが、上手い。
売り子としての能力はありますが、料理が下手でメイドとしての能力はまだまだな様ですね。ところどころでミハルからの厳しいツッコミが入りますが、切りきれないでつながったままのたくあんを見て「お前はドジな新妻か!」と言われていたのには笑ってしまいました。

結子とミハルは武家・田坂家に買取に行きます。
身分制度の変化により、生活に困った武家が所有している骨董品を手放す。だからこそ、武家は古美術店の良いお客でもある。結果古美術店介して外国人に日本の骨董品が流れてしまう訳ですが、文明開化は明るいことばかりではありませんね。
買取に行った家で、当主の母である大奥様に目利きを試されることとなるミハル。
酒井抱一の落款に、抱一の愛した女性・香川の絵。抱一の作品としては贋作であるが、香川の愛情に抱一が応えた絵として大変な価値があり、そういった意味では真作であるというミハルの鑑定はお見事です。
抱一と香川の様に仲睦まじく、大奥様も旦那様と共にこの作品を楽しんでいたことが、ミハルには視たのでしょうね。この能力、謎だなあ。

・第2話
冒頭でミハルの友人・高上馨が初登場。
ミハルと蜜悟、馨は尋常小学校からの付き合いで、今も仲が良いみたいです。
馨は意外に話聞いていなくて、真面目でもちょっと砕けたところがあって面白いです。

蜜悟からの紹介でお雇い外国人の生物学者・ラングフォード氏に鑑定を依頼されるも、それは見事に贋作。
美術品の目利きが苦手だということを聞き、結子が機転を利かせて、好きなものに焦点をあてて目利きをしてみてはどうかと提案します。それにミハルも乗っかってくれたので、結子も何だかちょっと認められたみたいで嬉しそうです。
亡き主人が動物や昆虫に関する物を集めていた明珍堂に行った時の、ラングフォード氏は目が生き生きとしていますね。
兎の根付や自在置物の海老や鯉が登場。
前になんでも鑑定団で、龍の自在置物を見ましたが、金属でできているのにも関わらず本当に滑らかな動きであって、驚きました。今のフィギュア並みに動くんじゃないですかね、自在置物。
生物学者としての視点からの目利きは、成功したみたいです。それにしても、目利きってなかなか難しそうです。

お礼と言うことで結子とミハルはラングフォード氏にパーティーへ招待され、参加することとなる。
しかもそのパーティーには結子を騙した古淵が来るということで、華やかなパーティーの裏で、逮捕劇が繰り広げられウこととなりました。
女性に贋作を売りつけ、借金を背負った女性を遊郭に売るという卑劣な犯罪を行う集団の一味だったそうです。その手に結子もひっかかったという訳です。
ミハルが追い込み、結子が逃げようとする犯人を仕留めるという見事なコンビプレーです。
会場で勇敢な結子は「サムライガール」と呼ばれ、評判になり、霧島古美術店の宣伝にもなって一件落着。
パーティーでの振る舞いを思い出し落ち込む結子に、上のことを教えて上手くフォローしてくれるミハルは・・・やっぱり良い人です。

・第3話
犯罪集団の子分が古淵に売りつけた仏像に、燃やされた記憶が視え、その仏像の出所である田舎・湯ノ上村を訪れるミハルと結子。出所の村にはもっと仏像があるんじゃないかと考え、それを買い取ることがミハルの目的。怪しい笑顔が怖いです。
その村では廃仏毀釈令により仏像が破壊されかけ、僧侶達が隠しながら守り続けてきたという経緯があるそう。
現在は晴恵(せいけい)というお坊さんが仏像を管理していました。
よくよく調べると子分は天治という名で、その僧侶の幼馴染で、命の恩人であり、彼が旅立つ際に贈られたのがミハルが鑑定した仏像だったという。点と線が繋がりました。皮肉にも贈ったものが犯罪に使われてしまったんですね。
寺の復活のためにも村に残っている仏像を売らないかと商談を持ちかけるミハルもなかなか商魂たくましいと思ってしまいましたが、廃仏毀釈の手から仏像を守るという裏の目的もあったようです。
結局、仏像は買取られることになりました。涙もろいお坊さん・晴恵の目標は寺の再興。信仰の深い村人のために、そして心を改めた天治のためにも頑張っています。早く、目標が達成されるといいですね・・・。

・第4話
結子の洋服店店員時代からの仲であるお嬢様・麗子が初登場。
ロミオとジュリエット、恋愛結婚に憧れ、レースの付いた服が好きなお嬢様で、これまたよくしゃべるしゃべる。
恋愛結婚に憧れるも、麗子には婚約者・小倉(こくら)がおり、麗子は家のための結婚だと考えその結婚を快く思っていない。
何と小倉はミハル達の友人であるというからこれまた驚き。
結子は小倉が麗子のために贈り物を用意していることから、彼が家の政略結婚のためだけしか考えていない訳でないことを知り、ミハルに反対されながらも麗子と小倉の仲を繕おうとするが・・・失敗。
麗子も小倉も父親の妾問題に巻き込まれた経緯があり、当時としては恋愛結婚が珍しい、2人の様に政略結婚も当たり前な時代。当時はやはり今と結婚観も違うのだなと感じさせられました。
小倉さんは麗子のために贈り物を用意するも、麗子には、物で釣ったと言われ・・・なかなか当人同士の気持ちがすれ違ってしまうのがもどかしい。
小倉さんは麗子に一目ぼれでその気持ちをミハルと結子プロデュースのプロポーズ大作戦で伝えることとなりました。これがなかなかロマンチック。
麗子が好きなロミオとジュリエットを真似した告白。腕利きの彫師・松葉さんに依頼していたのは精巧な結婚指輪。

この時代には恋愛結婚はなじまないと考えていたミハルには、恋愛結婚が失敗してしまった両親のことが背景にある様です。
まだミハルには謎が多いので、これから明かされていくのかもしれませんね。

〈個人的見所、その他感想など〉
・ミハルの能力や過去等の数々の謎が明かされていくのか?
・結子の髪形が毎回変わるので、面白い。可愛い。
・ミハル、蜜悟、馨の過去話とかその内登場しそう。
・ミハルの義父(前霧島古美術店店主)も登場するのか?
・作者の浅田さんは昔勉強したことを役立てながらこの漫画を描いているそうで・・・抱一の贋作の話もですが、古美術に関する知識等が所々散りばめられているので面白いです。
・結子の目利き能力がどんな風に成長していくのかも楽しみです。メイドとして、料理も上手になるのでしょうか。
・高宮の麗子お嬢様と小倉さん、再登場希望。ロミジュリプロポーズ後2人は上手くいっているのかー!?麗子お嬢様が再登場した暁にはまた浮世離れした独特の世界を披露していただきたいです。
・麗子お嬢様には、「嘘解きレトリック」(都戸利津)の藤島千代お嬢様を彷彿とさせる自由奔放・夢見がち精神が感じられるんですよね。麗子お嬢様と千代お嬢様、絶対似た者同士。気が合いそうな2人です。
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