「瑠璃宮夢幻古物店」1巻 逢坂八代 

「瑠璃宮夢幻古物店」1巻 逢坂八代 の感想です。
書店で見つけて表紙買い。不思議な雰囲気の表紙に惹かれました。

瑠璃宮夢幻古物店(1) (アクションコミックス(月刊アクション))瑠璃宮夢幻古物店(1) (アクションコミックス(月刊アクション))
(2014/05/10)
逢坂 八代

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〈あらすじ〉
とある住宅街に店を構える瑠璃宮古物店。
そこでは奇妙な力を持つ古物が売られていた。
それによって天国に導かれるか、地獄に導かれるかは持ち主次第。物と人が織り成す不思議で妖しい物語。

ハッピーエンドの結末もあれば、バッドエンドのものもあり。
ブラックな物語もあり。
「笑ゥせぇるすまん」や東京ストーリーランドの謎の老婆シリーズ(不思議な商品シリーズ)に内容としては近い様に感じられます。
不思議な店に、不思議な商品、妖しい女主人という点ではCLAMPの「×××HOLiC」とも似ていますね。
・・・謎の老婆シリーズ知っている人はいるでしょうか。小学生の時見て、結構トラウマになったのですが・・・
ちなみに、この物語に出てくる不思議な商品シリーズを売る女主人・瑠璃宮真央は老婆ではなく、若い女性です。

〈主な登場人物〉
・瑠璃宮真央(るりみやまお)
住宅街にひっそりとある瑠璃宮古物店の若き女店主。
妖しい雰囲気を纏った女性。

〈各話あらすじ、感想〉
・第1話
瑠璃宮古物店でアンティークの手鏡を買ったのは地味な女性。「心の平穏を保てないとき 決してこの鏡を見てはいけない」と店主の真央に言われていた。
手鏡を手に入れてから女性は不思議と綺麗になっていき、美人な妹の貴子はそれを憎く思うようになる。
ある時女性は貴子の彼氏に告白されて・・・姉妹の中は険悪に。怒りに満ちた気持ちで手鏡を見た貴子の顔は醜く変わってしまう・・・。

第1話目はなかなかのバッドエンド。醜い気持ちは顔に出るということでしょうか。
お互いを憎しみ合った姉妹は結局共倒れしてしまいましたね。
憎しみ合いは恐ろしいものです。黒く染まった姉の表情が印象的でした。

・第2話
ある男性が瑠璃宮古物店で購入したのは老眼鏡。一見何の変哲もないその眼鏡をかけると、15年前に死んだはずの妻・真澄が見える様になった。その老眼鏡と、幻の妻の姿に依存する男を見て、息子の弘太郎は老眼鏡を勝手に処分してしまう・・・。

処分された老眼鏡を必死になって探すページはとても迫力がありました。
過去の懐かしい思い出に浸っていたくなるのも、また人の性ですね。でもそれは幻であり、浸り続けると実生活に段々支障が出てきてしまう。
弘太郎は結構な強硬手段に出ました。男性の寂しさや妻との思い出への恋しさと言った気持ちを理解しておけば、バッドエンドにならずに済んだかもしれません。
それから飼い猫のカスミと真央は旧知の中だったのでしょうか。カスミの目的は、妻がいなくなった家族を繋ぎとめること・・・あるいは男性のそばにいてあげることだったのではないかと思います。
カスミと真央の過去話もそのうち、描かれるのかもしれませんね。

・第3話
友達ができない小学生ゆいかは、古物店にいる黒猫カスミの世話のお礼としてテディベアを貰う。
「マロン」と名付けられたテディベアは喋りだし、ゆいかの一番の友達となる。
そんなゆいかの家に、初めてクラスメイトのさいりが遊びに来ることとなる。人間の友達ができたことを知ったマロンはあまりよく思っていない。マロンは「人間の友達ができれば また僕は捨てられるんじゃないか」と告げてゆいかの元を立ち去ろうとするが・・・。

こういうお話に弱いです。人形好きだからでしょうか。涙が出そう。
女の子とぬいぐるみの物語で、2人はいつまでも続く友情を誓うのですが、人間のお友達の登場でそれが揺らぎ始めます。
マロンの台詞から、ゆいか以前にも持ち主がいたけれどもおそらく新しい友達ができて、マロンは捨てられてしまったということがわかるのですが・・・切ないですね。誰だって最初は「ずっと友達でいようね」といった気持ちで友情が始まったのだろうと思います。
安心したマロンが話さなくなったのは、マロンとゆいかが言葉を交わさずとも心が繋がっている真の友達になれたからなのでしょうね。
最後は年老いたゆいかの葬儀場に、真央がマロンを引き取りに来るという衝撃のシーンで締めくくりますが、真央さん全く歳を取ってません。彼女は不老なのか、それとも真央の娘とか?謎です。
「マロンに新しいお友達を探してあげて」・・・ゆいかちゃんの最後の頼まれごとで、また泣きそうになりました。

・第4話、第5話
要の祖父の遺品の買取のために、真央が自宅を訪れる。
祖父が亡くなってからと言うものの要の家族はバラバラ状態だった。真央が買い取るはずだった香炉は何物かに盗まれ、香炉の不思議な力を使って周囲の人間を操っているのだと知った要は真央とともに犯人を突き止めようとする。

瑠璃宮古物店は曰くのある古物を専門に扱っているそうです。引き取るはずの香炉もその1つで、人を意のままに操る力がありました。
祖父は家族を思って万年筆や香炉といった持ち物を、然るべき所有者に引き渡していったのでしょう。「扱いきれないものがあっても不幸になる」という要の祖父の言葉・・・自分に合わないものは持っていても身を滅ぼすだけと言うことだろうと思います。このモットーは真央にも共通しているんじゃないでしょうか。
香炉を壊したことで元通りになると思いきや、そうはいかないのですね。曰くのある古物の扱いは相当難しそうです。
あの家族の中で暮らすのは息苦しいだろうなあ。要さん。

・第6話
第2話に登場した弘太郎の恋人・美幸は友人の勧めで横溝ゆかりという女性に相談を持ちかける。その相談とは倒れた父の世話でやつれていく弘太郎が心配だというものであった。
古物商であるゆかりは美幸に嫌なことなんてたちまち忘れて心が穏やかになるティーセットを渡し、美幸は弘太郎にそれを試してみるのだが・・・。

真央の同業者でもあるゆかりが初登場。同業者と言っても本人曰く渡りの商売人で、どんな形であれ幸せになれるものを売るというモットーを持っており、真央とはかなり色合いの違う古物商の様です。
第2話の後日談でもある物語。老眼鏡を無くした男性は、何にも反応しなくなってしまったそう。
嫌なことを忘れられれば楽になれますが、それでは本当の解決じゃないんですよね。逃避しているのと一緒。
この辺りは老眼鏡で幻の妻に依存した男性自身にも同じことが言えるでしょう。
全部忘れさせて幸せになろう!というのがゆかりで、幸せになるか不幸になるかは道具の持ち主次第と言うのが真央の考え。根本的に考えが違うんですね。
老眼鏡の力を使って弘太郎が忘れていた家族の姿と自分のやったことを思い出す辺りは面白いですね。ここにきて老眼鏡が役に立つとは思いませんでした。

・第7話
第4、5話で登場した要が真央の元を訪れ、「弟子にしてほしい」と頼み込んでくる。
結局雑用係として真央と一緒に暮らすこととなった要は、買い物に出かけた際、公園の清掃員である貴子と出会い親しくなる。
貴子は第1話で登場した姉妹の妹。瑠璃宮古物店の手鏡によって醜い姿に変貌した貴子は、真央に気を付けることと危険な商品があの店にあるということを要に助言する。
手鏡が店にまだあることを真央から聞いた要はそれを使って貴子の力になろうとするが・・・。

今までの話で登場した貴子と要が出会うとは、思わぬ展開です。
要の家族は香炉の一件で要をのけ者にしていましたし、第5話のラストの様子から家庭環境は最悪な状態だったと思われるので、要自身も居づらい状況だったのだと思われます。
手鏡により姿が変わってしまった貴子は、性格も変わりました。
以前は容姿で人を見下していて、今の様になったのも当然と認めています。第1話の姉の発言によると、醜く変貌した直後は自信を無くして部屋に籠りがちになったとのことでしたので、顔を隠しながらも外に出て清掃業者として働く様になっただけでもかなり凄いと思ってしまいますね。
以前テレビで火傷を負ったり、硫酸を浴びせられて容姿が変貌してしまった方の話が放送されていましたが、容姿がある日突然変わってしまうことはかなりのダメージを与えるものだろうと思います。見た目の変貌に、心がすぐ付いていく訳ありませんよ。付いていけたら凄い。
貴子の言う通り、再び手鏡を見たからといって必ずしも元に戻ることのできる保証が無いんですよね。1巻は手鏡のことを要が貴子に話るというところで終わっているので、貴子が結局手鏡を使うのかはまだわかりません。
貴子の様子を見る限り、手鏡で今よりも改善されるのではないかと思いますが、それを行うか否かは正に本人次第。
果たして貴子は元に戻れるのでしょうか?そして要の方の家族関係は改善されるのでしょうか?
道具によって人生を変えられた2人の運命はどうなるのか。2巻できっと描かれることでしょう。

〈まとめの感想〉
1巻収録話中、ハッピーエンドだと感じたのは第3話と第6話。
1話完結で物語が進むと思っていましたが、前に登場した方が再登場しているのでそういう訳でも無さそうです。
バッドエンドだと思っていた物語が別の話で後日談が語られ、多少なりとも良い方向に向かう姿が見られると「ああ、良かったなあ」という気持ちになります。
そういった話のつくりになっている所が、この物語の特徴なのかもしれませんね。
普段あまり意識しませんが、物の中には不思議な力を持つものが本当にあるのではないかと思ってしまいます。
一見人間が物を支配している様に見えて実は物に人間が支配されているのかもしれません。その辺りを古物商である真央やゆかり、第4、5話に登場した要の亡くなったお祖父さんは心得ているのではないでしょうか。
ゆかりの場合は・・・物の持つ力を人間側が利用して何が何でも幸せになってやるという強気な気持ちを持っていそうですが。
真央自身はかなり謎の多い人物ですね。第7話で要が真央の素性を全く知らないと言っていますが、それは読者側のおなじです。話を読んでいても彼女がどういう人物なのかまだ計り知れないのです。
第3話のラストで年老いたゆいかの葬式を訪れる真央らしき人物が登場しますが、それが本人だとすると姿が数十年間変わっていないことなります。もしかしたら人ではないのかもしれない。その辺りの謎も、今後解明されてくると面白いです。

この「瑠璃宮夢幻古物店」は月刊アクションで連載中。
月刊アクションの公式ホームページでは第1話を立ち読みできます。
http://webaction.jp/monthly_action/
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