「ホムンクルスの娘」1巻 君塚祥 

「ホムンクルスの娘」1巻 君塚祥 の感想です。
舞台は昭和9年、都市伝説やオカルト、妖怪的なもの等が登場しますよ。
公式ホームページを見たら、いつの間にか最終回直前話を迎えていて驚きました。
もう少し続くと思っていたので、意外に早い幕引きです。2巻で終了になるのでしょうね。

ホムンクルスの娘 1巻 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)ホムンクルスの娘 1巻 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
(2014/01/25)
君塚 祥

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〈あらすじ〉
昭和9年、震災からの復興もままならない帝都東京。身寄りの無いチンピラ青年羽田九二郎は何故か第11帝国陸軍技術部研究所特務・洩矢機関所属の軍人になる。
なりゆきで行くことになった潜入捜査で、超能力を持つ人造人間(ホムンクルス)の少女・月子と出会う。九二郎により助けられた月子は洩矢機関の1人であった。九二郎は洩矢機関所属の火ノ島、阿曇、そして月子とともに日本国内のオカルトめいた事象の調査を行うこととなる。

〈登場人物〉
・羽田九二郎(はねだきゅうじろう)
 身寄りのないチンピラ青年で、色々な職を転々としていたところ何故か第11帝国陸軍技術部研究所特務・洩矢機関所属の軍人となってしまう。
 弱い者、困っている者は放っておけない情に厚い性格。月子の超能力の影響を受け、自身も超能力に目覚めるが好きな様に能力を発動できる訳では無い。料理上手。

・月子(つきこ)
 洩矢機関所属の人造人間(ホムンクルス)の少女。
 猫耳の様な髪形が特徴。接触感応の超能力を持ち、物の記憶を辿ることができる。
 九二郎の祖父・羽田久太郎博士により造られた。

・洩矢(もりや)
 第11帝国陸軍技術部研究所特務・洩矢機関所属の室長。呪物の軍事的利用を目指している。
 顔を見せることが無く、九二郎や青鷺とは御簾越しで話す。

・青鷺(あおさぎ)
 洩矢機関に所属している男で九二郎達の上司。九二郎を洩矢機関に入れた。

・火ノ島薫彦(ひのしまくにひこ)
 洩矢機関所属の軍人で九二郎の先輩。符を使い土地の土霊の力を借りるという「鬼道」の使い手。真面目な性格で、チンピラの九二郎をいまいち認めていない。

・阿曇さかえ(あづみさかえ)
 洩矢機関所属の軍人で九二郎の先輩。旧い水にまつわる神々の血を引いている。月子のことを可愛がっている。見た目は女性だが両性具有。(子孫を残すためにどちらの性にも切り替えられるらしい。)

・志堂寺(しどうじ)
 洩矢機関が追っている怪人党のリーダー。月子を使って予言を行う新興宗教を興していたり、能力者である子供を集めていたりと謎の多い人物。

〈各話あらすじ・感想〉
・第1話、第2話
 いきなり軍人となった九二郎は「をこのこ様」と呼ばれる人物が必ず当たる予言を行う新興宗教の操作を行い、をこのこ様として捕まっていた人造人間の月子と出会う・・・というお話。
 をこのこ様(をこのこ様)の元ネタは、江戸時代に書かれたという「をのこ草紙」ですね。以前ビートたけしの番組で紹介されていて存在を知りましたが、かなり近代のことも予言していたのだとか。謎の多い書物です。
 新興宗教のさらに上にある怪人党の目的は「優秀な人種による理想国家の建設」。とりあえず宗教団体は潰れましたが、まだまだ闇は深そうですね。

・第3話
 月子の護衛となった九二郎は、同じく洩矢機関所属の軍人である火ノ島、阿曇を紹介される。九二郎は2人と月子とともに、自身の祖父でもあった羽田久太郎の屋敷で暮らすこととなる。そこに火ノ島達が捕まえたオサキの宿主・北斗がやってきて・・・というお話。
 洩矢機関メンバーが初登場ですね。九二郎が料理上手なのは意外でした。
 人造人間の月子は、陸軍による人間の肉体の箍(たが)を外して超能力を持つ兵士の開発によってできた存在だと、阿曇の説明によって判明しますが・・・やっていることは結構恐ろしいですよねえ。
 果たしてそれは善と言えるのか、悪と言えるのか。

・第4話、5話
 名家秦織家の子・牛のような姿をした(厳密には牛の様な角が生えた)少年・凪が誘拐の後、浅草の見世物小屋・亞特蘭座(アトランザ)にいるかもしれないということで浅草に調査をしに行く九二郎、月子、火ノ島、阿曇。見世物小屋にいたのは超能力者である子供達ばかりだった。そこに現れた凪は観客に「新しい王国の生贄となってもらう」と言いだすが・・・というお話。
 所々で牛と人が交じり合った様な姿で未来予知を行うという妖怪・件(くだん)のことが登場しますが、牛の様な角を持った凪も未来予知をした後、負荷により命を落とすという何とも悲劇的な最期を迎えました。
 同じく見世物小屋所属の少女・乃美(なみ)は凪の双子の妹であり、アトランティスの物語のごとく兄妹で新しい、能力者達による世界をつくることが凪の理想でもありましたが、それもあえなく失敗。
 凪自身は幼い頃から迫害されて、やがて自分は普通の人間とは違う「神」であると考えることで心のバランスを保っていたのかもしれないですね。結局「神」であるというプライドから意地になって負荷の重い未来予知をして自身の破滅に繋がってしまったというのは、報われようが本当に無いです。
 それにしても凪の予知「浅草十三階が倒れた時、この国は滅す」というのは意味深です。(ちなみに実在した浅草十二階は関東大震災で崩壊しており、この物語の舞台昭和9年時には存在していません。)
 それから、怪人党のリーダー・志堂寺がいよいよ登場しました。思ったより早い登場だと思いましたが、全2巻ならばこの位で登場させないとあとあと話も詰まってしまうかもしれませんね。
 全身黒づくめに顔は包帯ぐるぐる巻きと怪しさ満点、でも子供達にはやたら慕われています。彼の理想は能力者の様な特殊な生い立ちの者が迫害される社会を変えたいとのことですが・・・あれ、何か良い人なんじゃない?と思ってしまいました。
特殊能力を持つ者や物である呪物を兵器にしようとして、人造人間の兵士を造ろうとしている軍と、やり方に問題はあるかもしれないが社会を変えようとする理想を持つ怪人党。どちらが正しくて、どちらが悪いのかはなかなか判断が付きにくいところです。

〈まとめの感想〉
 昭和初期が舞台、妖怪、都市伝説的なオカルト等々が登場するという、個人的に好みドンピシャな話です。
 時代物の漫画は結構ありますが、どうも明治時代や大正時代が舞台のものが多く、意外に昭和時代はあまりない印象があるので新鮮です。
 関東大震災直後の混乱が残った日本が舞台と言うことで、ボニータコミックの「十十虫は夢を見る」シリーズと丁度同時期位。(ホムンクルスの娘は昭和9年、十十虫は夢を見るは昭和4年が舞台)
 超能力を持つ、特殊な生い立ちの者が迫害される世界を変えたいという理想を持ち動く怪人党も十分怪しい組織ですが、超能力者や特殊な力を持つ物等をはじめとする呪物を兵器目的で使用しようとしている軍側も怪しさ満点です。洩矢の姿が出てきていない上に、青鷺も不思議な人物ですし、怪人党と並行して軍側の謎にも九二郎達には近づいて行ってほしいですね。

〈気になったところ、謎〉
・怪人党の目的、軍の目的
・月子を造ったという九二郎の祖父、羽田久太郎とは?
・月子によって発動した九二郎の超能力の活躍
・阿曇と月子が入浴している時に登場した、月子の背中の魔法陣の様な物は何か?
・姿を見せない洩矢

〈その他〉
・九二郎の生命力・・・というか生活力が凄い。
・月子可愛い。着ている着物がお洒落。髪形は猫耳にしか見えない。
・昭和初期に人造人間が開発されていたという設定が新鮮。あまり無いですよね。
・火ノ島センパイは喋ると小物感が溢れだすのですが・・・能力的には凄いことやっているのになあ。
・洩矢氏の顔が気になる。言動からして、結構性格はおちゃらけているように思えます。
・青鷺さんは裏がありそうで怖い。
・阿曇さんは結局性別どっちなんでしょう?
・個人的に乃美さんの話し方が郷愁ある感じで良かった。

こちらの公式ホームページで数話読める様です。お試しあれ!
http://online.ichijinsha.co.jp/zerosum/comic/homunculus
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