「累」1、2、3巻 松浦だるま 

「累」1、2、3巻 松浦だるま の感想です。
先週群馬テレビの番組「5時に夢中!」中瀬ゆかりエンタメ番付で紹介されており、とても気になったので1~3巻までを一気読み。

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〈あらすじ〉
女優の淵透世を母に持つ少女、淵累(かさね)は醜い見た目を持つために周囲の人間に虐げられていた。そんなかさねの夢は母と同じく女優。しかし醜い容姿がその夢の邪魔をする。そんなかさねにはある秘密があった。母の残してくれた赤い口紅をつけて口づけをすると、相手と自分の顔を入れ替えることができるのだ。かさねはその口紅を使って醜い自分の人生を変えようとする。

〈登場人物〉
・淵 累(ふち かさね)
主人公。醜い容姿のせいで幼い頃から周囲の人間に虐げられてきた。母である淵透世は他界しており、父親は醜い容姿である累を生後間もない頃に見捨てた。抜群の演技力を持ち、夢は女優。
母の残した他人と顔を入れ替えることのできる口紅を使って、美しい容姿も醜ければ得ることのできなかったであろう賞賛も手に入れて人生を変えようとする。

・淵 透世(ふち すけよ)
かさねの母で、伝説の女優。かさねが幼い頃に他界。
美人であったが口紅を使って他者の顔を奪ったのではないかという疑惑もある。
生前知り合いであった羽生田にかさねを女優にすることを託す。

・羽生田 釿互(はぶた きんご)
演出家であり女優であった透世の協力者でもあった男性。口紅の秘密や透世の過去を知っている。現在は透世の願いを受けかさねに協力している。透世のことを「いざな」と呼ぶ。

・丹沢 ニナ(たんざわ にな)
美しい顔を持つ女優。演技力は並み程度。眠り姫症候群を患っており、いつ眠ってしまうのかということと人から忘れられることを恐れていた。長期間眠ってしまうことに備えてかさねと顔を入れ替えながら女優「丹沢ニナ」として活動していたが、かさねに美貌も女優としての賞賛もすべて奪われてしまい自殺を図った。現在は自殺未遂の外傷により植物人間状態。

・西沢 イチカ(にしざわ いちか)
かさねの小学生の頃のクラスメイト。可愛い容姿をしているが性格は悪く、かさねをいじめていた中心人物。かさねが初めて顔を入れ替えた人物でもある。顔を入れ替えた際屋上から転落してしまい死亡。

・五十嵐 幾(いがらし いく)
かさねが高校時代所属していた演劇部の部長。美人で人望もあり、いじめられていたかさねに気をかけていた。演劇部の公演の際かさねによって睡眠薬を盛られ眠っている間に顔を入れ替えられ、結果幾の顔をしたかさねが舞台に上がった。美人であるがゆえに中学時代はいじめられていたという。

・淵 峰世(ふち みねよ)
かさねの伯母で透世の姉。両親のいないかさねの後見人となっており、表面上は優しい伯母を演じているが、実際はかさねを疎ましく思っている。

〈感想〉
美醜をテーマに、醜く生まれたが故に不幸を味わってきた少女・累(かさね)が口紅の力と抜群の演技力を武器に人生を変えていく物語。
美醜は割合色々な小説や漫画等でも取り上げられるものだろうと思います。世の中見た目が全てでは無いと思っていますが、実際美醜によって人生が左右されることもあるのが現実。イケメンとブサメンの違いもしくは美人とブスの違いなんていうのがありますが、やっぱり見た目で扱い違うことってあるよね・・・

「顔を入れ替える」というワードで思い出したのが

藤田あつ子の「まんがグリム童話 中国悪女伝」という短編集の中にある「顔盗み」

まんがグリム童話 中国悪女伝まんがグリム童話 中国悪女伝
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藤田あつ子

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それから手塚治虫の「あらしの妖精」

あらしの妖精 (手塚治虫漫画全集)あらしの妖精 (手塚治虫漫画全集)
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手塚 治虫

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あとは永井大が凄腕医師の役をやっていたドラマ、「FACE MAKER」。
http://www.ytv.co.jp/face/

軽くあらすじ紹介しますと
「顔盗み」・・・不器量な姉(本妻の子)と美人の妹(妾の子)。姉が嫁入りになる際、姉の母(本妻)は姉が不器量であることを気にかけ秘術で姉と妹の顔を入れ替える。それまで不器量が故に謙虚に暮らしていた姉は美しくなったことで自信を手に入れ、傲慢な性格になってしまった。ある時秘術が解け、姉は元の不器量な顔になってしまい自殺する。
「あらしの妖精」・・・母親が悪事を働くのが生業の妖精と約束したが故に、妖精の娘と顔を取り替えられ醜く生まれてきたルリ姫。一方で妖精の娘・はこべは美しく生まれてきた。ルリ姫とはこべは、やがて鍬形城の権力争いに巻き込まれていく・・・。
「FACE MAKER」・・・天才医師霧島瞬は凄腕の整形技術の持ち主。彼は他人の顔を患者に移植して、患者の人生を変えていく。

かなり、ざっくりですがこんな感じですね。「FACE MAKER」に関しては他人の顔を患者にくっつけるという物凄い方法で他人と顔を入れ替えます。実際顔面移植を行ったら拒絶反応とか凄そうですが・・・。

「顔盗み」が収録されている「まんがグリム童話 中国悪女伝」は
http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/19579.html
http://renta.papy.co.jp/renta/sc/frm/item/7137/
「あらしの妖精」は
http://bookstore.yahoo.co.jp/shoshi-129093/
http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/408.html?dealerid=103&gclid=CJWcrIrQ7r8CFZcnvQod-gUAvA

この辺りのサイトで、立読みや電子書籍の購入ができます。「累」と一緒に美醜繋がりで読んでみると面白いですよ。ちなみに顔盗みの方はrenta!のギフトコード集めまくって電子書籍を永久レンタルしました・・・なんというドケチ根性・・・。

さてさて、この辺から「累」の話に戻りますが・・・
かさねの醜いが故に恵まれなかった人生が読んでいて辛すぎる。

1巻は小学校、高校のエピソードが収録されており、かさねが女優として活動するまでの話が主なのですが、学生時代はとにかくいじめられているんですよ。

小学校の頃は美少女でクラスの中心人物であるイチカとクラスメイト諸々に激しくいじめられる。、高校時代はクラスでも所属していた演劇部でもいじめられ嫌われて孤立状態。私だったら不登校になるわ!!!
小学生時代のいじめなんて結構えぐいんですよ。イチカによってわざと学芸会のシンデレラ役にかさねが抜擢されて、母が女優であるというプライドからかさねも引き受けて、舞台では抜群の演技力を見せつけるんですがそれに嫉妬したイチカによって途中でシンデレラ役を交代するということになって・・・
この美少女イチカはとにかく腹黒い。
演技を頑張るかさねを評価する声もあったのですが、クラスで圧倒的な権力を持つイチカはそんな声も潰してしまうんです。
クラスの中でも可愛い子が権力を持っている感じは何となくわかりますね。スクールカーストの上位にいる感じ。

結局、イチカはかさねに顔を取り換えられてイチカの顔をしたかさねが再びシンデレラを演じます。これがかさねにとっての初めての変身。

漫画内では美しい者と醜い者の違いと言うものがはっきりと描かれていて面白いです。
イチカや演劇部の美人部長の幾、新人女優のニナと顔を入れ替えたかさねは、美しいことにより生まれる圧倒的な自信と周囲からの賞賛を身を持って体感して、醜い自分の人生では得られなかったものを得るんですよ。そしてさらにその魅力に取りつかれていく。

醜い顔で街を歩くと笑われたり悪口を言われたりするが、美人だと美しいが故にじろじろと見られる。

美人部長の幾もかさねもいじめられたことがあるが、幾はその美しさに嫉妬されたが故のいじめであり、かさねはいじめられた幾よりも幾をいじめた方に共感してしまう。

この様な感じでここまでかという程に、美醜により生まれる違いが抉られています。

この違いはかさねだけではなく彼女と顔を入れ替えたニナも感じることとなります。それまでは感じることの無かった醜さ故の注目や嘲笑を身を持って知ることとなるのでした。
こればかりはお互いがお互いの身にならなければ感じられないことですよね。

1巻までは女優になるまでの序章、2巻以降は本格的に物語が始まって行きます。
醜いかさねは羽生田の紹介でニナと協力し、丹沢ニナとして活躍していきますが、その演技への情熱は誰よりも大きいです。これまで醜いおかげで舞台に立つことも諦めていたのですから、その喜びはとてつもないものだろうと思います。
かさねが丹沢ニナとして活躍していく一方、ニナはかさねに全てを奪われる恐怖を感じ精神を病み最終的には自殺未遂を起こす・・・読んでいて苦悩して追い込まれていくニナの姿はかわいそうに感じました。

かさねは美しさも賞賛も女優としての自分も奪い取って自分のものにしていくというものが目標でもありますが、よく考えると奪い取られる人もいるってことなんですよね。かさねには頑張ってほしいものの、ニナを見ているとニナが完全に悪女でもないのでいたたまれない気持ちになってしまうのです。3巻ではニナの両親をも騙すことになりますし、何だか後ろめたいですよ。

かさね自身もニナを嫌いには慣れないからこそ、ニナが植物人間になった後彼女の人生を奪い取って生きることに悩み、仮借の念でいっぱいになるのですが、そんなかさねを叱ったのが羽生田でした。
ニナの顔でいることに慣れて、自分の醜さを他人事の様に感じ始めていたかさねをひっぱって、鏡に突き出し己の醜さや執念に直面させ、羽生田はかさねの気持ちを奮い立たせます。
3巻ではニナの自殺未遂からかさねの苦悩、そしてそこから再び這い上がろうとするかさねの姿が描かれており、他人の人生を奪うことに抵抗のあった甘いかさねが他人を犠牲にしてでも上に進んで行く女優に変化していくターニングポイントがまさしくニナの自殺未遂であったり、羽生田による自身の醜さへの直面、舞台「サロメ」において母の意思を捨て自分の意志で演技をすることだったのではないかと思いました。

1巻は序章、2巻は女優デビュー、3巻は精神面での変化が描かれていると勝手に考えておりますが、これからは本格的な女優としての活動に入っていくのではないでしょうか。
それから、3巻時点ではかさねの顔の入れ替わりは時間制限があるのですが、母の透世は完全に他人の顔でい続けることができたので、どうすれば完全な顔の入れ替わりができるのかといったこともこれからの物語の中で登場するのではないかと思いますね。

口紅のことも、透世の過去や羽生田の過去もまだまだ明らかになっていないのでその辺りも今後展開されていくのではないでしょうか!

〈その他感想や謎など〉
・私自身ブスとか言われたり顔関係で嫌な思いをしたことがあるので、結構かさねの人生に共感してしまいました。だからこそ、いじめのシーンとか周囲からの嘲笑や冷たい視線のシーンに胸が締め付けられそうになります。
・演劇がテーマである部分では美内すずえの「ガラスの仮面」、醜い自分を捨てて美しさを手に入れるという点では謀津かずおの「洗礼」、醜い少女が美しさを手に入れて芸能人になる点では高階良子の「地獄でメスがひかる」を思い出させるかも。全体的に線がはっきりしている絵柄からか昭和っぽい雰囲気も感じさせられます。
・かさねは醜いということですが、ある程度デフォルメされて描かれている印象です。若干髪形などが「わたモテ」のもこっちに似ている気がする。
・漫画内ではかさねとは正反対の美人が登場しますが、美人は美人でも皆同じ感じでは無いです。イチカは性格が悪くて、ニナは醜いかさねを「分をわきまえているのよ」といった感じに馬鹿にする一面もありましたが、幾はいじめられていたかさねを気遣ったりと優しい性格で、美人は美人でも色々な種類の美人が登場するのも面白いです。
・透世に関する謎が多い。羽生田は彼女のことをいざなと呼びますし、彼自身の言葉によると透世は元々醜くてかさね以上にひどい仕打ちを受けていたそうです。透世の姉である峰世が比較的綺麗目な顔をしているので、
いざなという醜い少女が口紅の力を使って淵透世という美人と顔を入れ替えて、美しさも人生も奪い取ったのではないかと予想。
追々羽生田によって語られると思いますが、まだまだ謎な部分が多いので気になります。
・そもそも顔を入れ替えられる口紅って魔法並みの力を持つアイテムですね。ドラえもんのひみつ道具にありそう。
・結局ニナは植物状態のまま?それとも違う誰かとまた顔を入れ替えるのか?
・関と言う高校時代にかさねをいじめていた少女の懺悔の言葉がいくらあっても、かさね自身の過去は変わらないし、怨みが和らぐわけでないという場面が結構心に残った。いじめた方以上にいじめられた方は、いじめられた記憶が深く残っているものですよ。
・カバーは美しい顔のかさねが描かれていますが、カバー下には醜い顔のかさねが描かれていると言ったなかなか手の込んだ仕掛けがあります。(2巻だけはかさねの顔のニナかも)
・3巻の作者さんのあとがきによると「累」の元ネタは「累ヶ淵」。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%AF%E3%83%B6%E6%B7%B5

公式ホームページで第1話、2話が立ち読みできます。
2話も立読みできるなんて、太っ腹です。
http://evening.moae.jp/lineup/266
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