「コンプレックス・エイジ」1巻 佐久間結衣 

「コンプレックス・エイジ」1巻 佐久間結衣 の感想です。

コンプレックス・エイジ(1) (モーニング KC)コンプレックス・エイジ(1) (モーニング KC)
(2014/08/22)
佐久間 結衣

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以前ネットで読み切り版を読んで知った漫画です。
読み切り版は加齢に悩むゴスロリ女性が主人公でしたが、後に開始された連載版では26歳のコスプレ趣味の女性が主人公となっています。

〈あらすじ〉
26歳の片浦渚の趣味はコスプレ。中でもアニメ「マジカルずきん☆ウルル」の主人公・ウルルのコスプレに力を入れている。自分こそが一番ウルルに近い、完璧だと思っていた渚。そんな渚の目の前にウルルそっくりの少女、アヤが現れ激しく動揺する。

〈登場人物〉
・片浦 渚(かたうら なぎさ)/凪(なぎ)〈コスプレイヤーとしての名前〉
26歳派遣社員の女性。趣味はコスプレで完璧にキャラになりきることを目指している。「マジカルずきん☆ウルル」の主人公、ウルルに憧れておりそのコスプレに一番力を入れている。
高身長なことがコンプレックス。自分自身が一番2次元に近いと思っていたが、目の前にウルルそっくりな少女・アヤが現れ激しく動揺してしまう。コスプレ趣味は両親や会社の同僚には隠している。

・公子(きみこ)
渚の親友でコスプレ仲間。「マジカルずきん☆ウルル」のキャラ・コケモモのコスプレをよくしている。
コスプレにも、コスプレの写真撮影に関しても情熱を注ぐ。落ち着いた性格で、渚のよき理解者。

・栗原 綾(くりはら あや)
公子を通じて渚が知り合った、コスプレ初心者の少女。小柄な体型や顔立ちがウルルに似ている。
渚に憧れている。渚と違ってコスプレ趣味は周囲に隠していない。「マジカルずきん☆ウルル」ではお姉様キャラのリリィが一番好きで、そのコスプレを好んでいる。

・しほ
アヤの友達でコスプレ仲間。アヤがウルルに似ていることを指摘してしまう。「マジカルずきん☆ウルル」のミステリアスキャラ・ミズリのコスプレをよく行う。

・葉山(はやま)
渚の会社の同僚。渚が苦手としている女性。偶然街で、コスプレしている渚とはちあわせする。

〈感想〉
コスプレと言う趣味に心血を注ぐ渚。完璧なコスプレを目指す彼女の情熱は凄いです。
物語は薄暗い押入れの中でパソコンを使い、ネット上での自分のコスプレの写真や評判をチェックして、自分は完璧なコスプレをしていると確認しているシーンで始まります。
なぜ押入れの中かと言うと、同居している両親にはコスプレのことを秘密にしているからです。パソコンにフィギュア、ウルルのポスターに衣装、衣装をつくるミシンなどが全部押入れの中にあり、衣装づくりもそこでこっそりと行っています。秘密基地と言った感じです。
・・・何かその気持ちわかります。
今でこそ私は同居家族にドールやミニチュア、フィギュアの趣味がばれてオープンにしていますが、ばれる以前はクローゼットや戸棚、学習机の狭い隙間とかに趣味の物を隠していましたもの。隠すっていうのもなかなか大変です。

渚はウルルのコスプレがお気に入りなのですが、見た目的に両者は結構真逆。渚が高身長なのに対して、ウルルは小さめ。渚曰く「ちいさくてまんまるでわたしが持ってないもの全部詰め込んだ様な」存在がウルルなんです。
衣装等を完璧に近づけて、仕草も似せて、ウルルになりきる渚の前に、コスプレすることも無しに、そのままでウルルそっくりな少女・アヤが現れてしまうもんだから、それはもう、心が揺さぶられる訳です。

自分の理想に近い人が現実に目の前に現れて・・・といったことに近いかも。
ウルルそっくりなアヤはウルルのコスプレをやる訳では無く、リリィと言う一番高身長で大人っぽいキャラが好きでそのコスプレを行うんですよ・・・見た目だけで言うならば、ウルルコスプレはアヤがやって、リリィコスプレは渚がやると良いのかもしれませんね。

アヤの登場で渚は自信を失い、アヤがウルルに似ていると周囲に気付かれることを恐れています。渚自身は完璧にキャラになりきることこそが、自分の自信になっている。だからこそ衣装からしぐさ何から何まで完璧なコスプレを目指しますし、周囲からの声にも敏感。ネットでエゴサーチして、自分の評判をチェックしたり・・・
そんな時、イベント会場で自分に対する悪口を聞き、目の前にアヤが登場してきたこともあって自信が揺らいで自分を見失ってしまう。

自分は完璧にキャラになりきっていると感じていた渚の姿は、自分の気持ちを支えているものでもあり、自信でもあると同時にうぬぼれだったのではないでしょうか。
自分が完璧だからこそ適当なコスプレは許せないし、そういう人にきついことも言ってしまう。自信も強くなり過ぎてうぬぼれになっていたから、他人に口出しだってできるのではないですか?
自分が完璧だと思っていた渚のうぬぼれをぶち壊したのが、イベントでの「デカババア」という悪口だったり、ウルルそっくりなアヤの登場だったのだと思っています。

渚の場合、自信が強すぎ。自信があっても、それ故に人を傷つけることだってある。度が過ぎると強いうぬぼれに変身する。謙虚さだって必要ですよ。

そして渚は、自己評価を他者に求めるのも強いのではないかと思ってしまいました。他者から認められて、評価されることって確かにやっぱり安心するものでしょう。けれども、結局他者からの評価を自分の自信の拠り所にしてしまったら危ないのではないかとも感じるのです。
他者からの評価は良いものばかりではありませんし、急に評価ががらりと変わってしまうことだってあります。そういう流動的なものに自分の自信の根拠をくっつけてしまうと、非常にゆらぎやすいものとなるのではないでしょうか。

親友公子のおかげでちょっと渚も自信を取り戻したみたいですが、「自分はこれで良いんだ!」「自分にはこういう良いところがある」と言った感じに自分で自分を認める気持ちをもっと持って欲しいな・・・と一読者として思ってしまいました。

渚は衣装づくりも上手ですし、キャラへのこだわりも強く、熱意も凄い。公子が「コスプレは纏うもの」と言っているように、見た目が似ていても雰囲気とか気持ちをキャラそのものにしていかないと、ただキャラと同じ衣装を着ただけの人にしかならないのだと思います。
渚の場合、確かに身長はウルルと正反対ですが、雰囲気や気持ちと言った内面部分はアヤよりも、他の誰よりもウルルに近いのではないでしょうか。だからこそ、公子だって渚のコスプレを認めている。
アヤの方がウルルに似ていても、渚にはそれを覆すほど良いところがいっぱいあると思いますよ!

〈読み切り版コンプレックス・エイジの感想〉
一緒に収録されている読み切り版の方の感想です。

まずは簡単なあらすじから。

主人公の佐和子は34歳のゴスロリ好きな女性。加齢とともに、ゴスロリを続けていることに佐和子は悩み始めて・・・。

・・・といったお話です。

ここでさらっと言ってしまいますが、佐和子はゴスロリをやめるという結末に至ります。

体型崩れや肌の老化等日常的に加齢を感じるとともに、「年相応の格好をしないと」「引き際が大事」といった周囲からの声があったことで、今まで愛用していた服も何もかもゴスロリに関する物は全てゴミ袋に入れて山で燃やして完全に決別するんです。
山で燃やしていいの!?というツッコミは置いておいて・・・
読んだ直後の感想としてはゴスロリやめちゃうんですか・・・といったものでした。

私の場合ミニチュア、ドールに消しゴム、キティさん漫画やローゼン等々趣味が長続きしているので、佐和子が長年続けてきた趣味をやめてしまうという結末がなかなか印象的でした。
部屋が狭くて物が置けない、子育てとか介護とかどうしようもない要因があってやめざるを得なくなったということも特に彼女の場合は無くて、周囲からの声と合わせて自分の気持ちの部分の部分で続けるのがまずいのではないかと感じてやめてしまう訳です。

私自身似た様な話があって、小さい頃からキティさん好きですが、中学生の頃「キティさんが好きだなんて、自分に合ってないからやめよう」と思った時があったんです。
理由は・・・他人にキティさん好きなことを馬鹿にされたからです。中学生の頃の私は髪の毛2つ縛りでメガネでその頃はやりのジャージの腰パン(笑)もやっていなくて、見た目は真面目かつおとなしい感じでした。

そういう子が「可愛い」イメージのキティさんが好きなことが許せなかったのか気に食わなかったのか・・・理由は定かではありませんが「あなたにはキティ似合わないよね」と言われてしまったんですね。そして結局キティ好きを一時期やめました。
自分は自分、他人の言っていることは気にしないよ!という気持ちがあればそんなこともなかったのかもしれませんね。結局その内またキティ好きに戻りましたが。

ちょっと話題が逸れてしまいましたが・・・
佐和子本人が納得してゴスロリをやめたというのは本人の選択なので良いと思うのですが、周りからの目を気にしてやめてしまったというのがちょっと心に引っ掛かるのです。
「年相応の格好をしないと」「引き際が大事」なんて言っていたのは、佐和子のゴスロリへの熱意も愛情も何もかも知らないただの他人。「引き際が大事」なんて言ってきた20歳そこそこの、若いだけのロリータちゃんに、そういうこと言われて、それを気にしてやめる選択をしてしまって良いのかと思ってしまいました。

好きなものは好き!で自分の路線を何歳になっても突っ走っている人だって、世の中にはいるはず。
Ali projectのアリカ様も、キティさんのデザイナーである山口裕子さんも、ゴスロリファッション繋がりで作家で社会運動家の雨宮処凛さんも、独自の路線を突っ走っているでありませんか。
以前街でゴシック・ファッション風の素敵なおばさまがいて、素敵だなあと感じさせてくれる方もおりました。

佐和子にも誰にとやかく言われようと「私はゴスロリが好き!好きなものは好き」という気持ちがあったらもっと違う結末を迎えていたのかなと思いますね。
加齢していくにつれて、趣味を続けていくのが辛くなるというのは何とも嫌な現実です。周りの目だって気になる。歳を取って趣味を楽しめなくなる。私だって多かれ少なかれ、そういう気持ちがあります。
だからこそ、何歳になっても趣味を続けている人や自分の路線を走っている人に強さを感じてしまうんですよね。そしてどこか心惹かれてしまうのです。

〈その他〉
・カバーを取り外すと、カバーとは微妙に違うイラストが登場(コスプレ前、コスプレ後の様な)。どこが違うのか、見てみると面白いです。
・渚みたいに自分がなりたい存在が目の前に現れて・・・っていう経験、現実にありました。同じ電車の車両に乗ってきた方がめっちゃ美形だったり(格好はジャージ)、友達で優しくて思いやりがあって、話も面白くてっていう人がいたり・・・
・ダンガンロンパとのコラボで、渚達がそのコスプレをしている場面があります。あと、モノクマのしおりがおまけで本に挟まっていますよー。
・街でコスプレをしている渚達と渚の同僚葉山さんがはちあわせするところで1巻は終了。葉山さんも実はコスプレ好きだったなんて超展開だったら凄い。ありえないと思いますが・・・。
・読み切り版の佐和子夫婦が渚の両親として登場しているらしいです。読み返すと、佐和子の特徴的な泣きぼくろの位置が、渚の母のそれと一致しており顔立ちも似ています。
・巻末には、「マジカルずきん☆ウルル」の設定資料集が掲載されています。三つ編みで二重人格、武器は文房具というキャラ「クスクス」の元ネタは、西尾維新の物語シリーズの羽川翼と戦場ヶ原ひたぎでしょうか。
・アヤは周囲にもコスプレ趣味をオープンにしていますが、それは理解している人がたまたま身近にいるからアヤは恵まれているだけなんですよね。渚の様に周囲に理解がもらえる環境ではなく趣味を隠している人だっている。

第1話が公式サイトで読めますよ~
お試しあれ!
http://morning.moae.jp/lineup/280
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2014.09.11 Thu 18:33
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Name - 紅ネ  

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ささん、コメントありがとうございます!
名前でのからかいや悪口って嫌ですよねえ。
私の場合、悪口じゃないのだけれど、本名がジャニーズの某アイドル数名の名字と下の名前を組み合わせた感じらしく、同じクラスのジャニーズ好き女子に勝手にジャニーズっぽいイケメンを想像されて・・・実物見てがっかりされたなんていうエピソードがある・・・今となっては笑い話だけれど、中性的な名前のせいでこんな思いした!って思った時もあったなあ。
キティさんが似合わないって言われたのも当時はかなりショックで、数人の女子に「キティちゃん好きなんだよね(ニヤニヤ)」とからかわれたこともあって、一時期は「キティちゃんなんて子供っぽいし嫌いだよ」って表面上はそう言っておりました。
多分可愛い系の女の子や、クラスの内のスクールカースト上位にいる子だったらこういうことも言われなかったのかもしれない。私がキティさんを好きになっちゃいけないの!?って結構落ち込みんだなあ。
まあ、そういうこと言ってきた女子は私自身を悪口言うターゲットにしていたみたいで、他にも「キモい」とか「馬鹿じゃないの」とか心無い言葉をたくさん言ってきていたので、私のキティさん好きっていうのは良い悪口のネタになっていたんだと思う。
名前も、好きなものも、あなた他人で何もわかってないのにつべこべ言わないでって叫びたくなる。
この漫画も、そういう風に他人のことを言ってくる人が登場してくるのですが、「自分の価値観で他人をはかるな」「他人のことを批判できる程、あなた自身は立派なの?」と思わず言いたくなっちゃった。
自分自身も、他人自身も受け入れて認めて、相手の人が自然体でいられる環境・・・というか雰囲気をつくれる人間に私もなりたいなあと思いますぜ。
私自身も自分のことを言うことが苦手で、本当に心許した人にしか心の奥底のことって話せない。だからこそ、そういうことを打ち明けられる人に出会うと本当に幸運だなあと思います。(もちろん、ささんはその1人ですよ~)
こちらこそいつもありがとう、これからもよろしく!26日また会えるのが楽しみ。
2014.09.11 Thu 19:29
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