「+αの立ち位置」1巻、2巻(全2巻) 月煮 ゆう 

「+αの立ち位置」1巻、2巻(全2巻) 月煮 ゆう の感想です。

別記事の日記で、間違えて買ったばかりの2巻を古本買取サービスの段ボールに入れてしまいたいして読んでもいないのに売ってしまった・・・ということを書きましたが、無事Amazonから注文しておいた2巻が届きましたのでやっとこさ感想記事が書けます。なんたるミス!

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(2014/04/25)
月煮 ゆう

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+αの立ち位置 2巻 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)+αの立ち位置 2巻 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
(2014/11/25)
月煮 ゆう

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〈最初に一言〉
典型的ヒロイン気質美少女ハルカと何故か一緒に異世界へ召喚されてしまった地味なオタク少女・サトキ。決してヒロインにはなれない脇役気質なサトキの視点から見たファンタジー世界はなかなか面白い!


〈あらすじ〉
妄想好きで脇役気質、見た目も地味な女子高生・枋間識希はクラスメイトの超絶美少女・転道花華とともに異世界に召喚されてしまう。見た目の美しさから救世主である神娘(クレアーレ・フィーリア)とされる花華とは対照的に、地味故に花華のお付きの方扱いを受ける識希。そんなある時、識希は花華ではなく自分こそが神娘が持つという想像を具現化する能力を有することを知ってしまう。「美しく華やかな花華ではなく、地味な私がヒロイン的立場の神娘であってはならないし、周囲も花華が神娘であることを望んでいる」と考え、そのことを秘密にする識希だが、ただ1人王宮魔術師長のミーヴァにはそのことを感づかれてしまう・・・。

〈登場人物〉
・枋間 識希(ほうま さとき)/サトキ
妄想好きで脇役気質、地味な見た目の女子高生。自分に自信が無く、物語の中心人物になるよりはそれを横で見ていたいと考えている。自分が神娘の力を持っていることを知るが、地味な自分が神娘となることが許せず周囲には秘密にして、神娘の影武者となることを決意する。

・転道 花華(てんどう はるか)/ハルカ
サトキとは対照的に超絶美少女で華やか、正義感に溢れる女子高生。自分を召還した世界の人達を助けたいという素直な気持ちから、神娘の役割を引き受ける。

・ミーヴァ・オファール
王宮魔術師長で凄腕の魔術師である。サトキが神娘の力を持つことを知る人物で、何かとサトキを気にかけ力になってくれる。サトキにとってこの世界における唯一の味方であり、彼女からは「師匠」と呼ばれる。超美形の青年でファンも多いらしい。神娘研究の第一人者であり神娘指南役に任命される。

・クシャ・ユゥレ
神官の女性。腹黒で美形な者が大好き。見目で人を判断する所がある。美しいハルカを神娘に選んだ張本人。

・サフィク
エギン国11代目の王。超美形の青年。

・ラズワド
騎士。神娘であるハルカに仕える青年。旧王家の末裔で王位を取り戻そうとしているらしい。ハルカは王であるサフィクと騎士ラズワドの間で心が揺れ動くが・・・

・ジェト
兵糧班副長の青年。コック。美形。明るく優しい性格。顔の傷を隠していたがハルカのおかげで吹っ切れたそう。サトキに協力してくれる良い人。

・リアリ
王城のメイド。美人で強気な女性。ミーヴァのファンで、彼に協力する。

・オブディマ
エギン国と戦っているラアク国の兵士。強引な性格。ひょんなことからサトキに神娘の能力があることを知ってしまう。ハルカに惚れており、ハルカを嫁にしたいがためにサトキに神娘をやらせようとする。

・ネティカ
サフィクの弟王。兄のサフィクこそが真の王だと考えている。サトキを騙して利用し、旧王家であるラズワドを真の王として選ぼうとしたハルカを偽神娘としてその役割から退かせた。強かで腹黒な性格。

・ルーチェ
ネティカが真の創造の神娘として仕立て上げた美少女。実際に力を発揮することはできず、サトキが影武者となっている。美しい見た目とは裏腹に口が汚くガサツな性格。ネフィカが外国から仕入れた奴隷であり、生活の保障を条件にハルカを再び神娘にするためのミーヴァやリリア、サトキ達による作戦に協力する。

〈感想〉
いきなり主人公が異世界に召喚されて、ヒーロー/ヒロインとして活躍するという物語は小説や漫画やアニメ等のフィクションで、よくあるストーリーだと思います。この物語もそういった流れですが、ただ1つ違うのが主人公サトキが救世主的ヒロインの立ち位置に非ず、常に脇役でいるということです。


・ヒロイン気質な美少女ハルカと脇役気質なサトキ。地味なことをわかっているサトキは必死に脇役でいることを死守する。


第1話の冒頭でヒーローは格好良く、ヒロインは美しくならないとサトキが語っておりますが、確かにフィクションに出てくるヒーローヒロインは皆美形ですよね。中心人物にはならないでそれを横から見ていたいというサトキがまさかのヒロイン的能力(神娘の能力)を持っていたのだというのだから、もう大変です。

異世界に召喚されてからのサトキの扱いは目に見えてかわいそうな感じ。神娘とされたハルカは特別な存在として扱われますが、彼女のお付きの者扱いのサトキはかなりいい加減。サトキも自分が地味だからこそそうなるのだとわかっているので、ハルカを憎んだりはしません。

サトキ自身はかなり自分に自信が無い少女です。そして自分が地味で美しくないということをわかっていて、地味な自分と美しく華やかなハルカや異世界の人物達をきっぱりと違う世界の人間なのだと考えている節もあります。

唯一サトキの能力のことに気付いたミーヴァに対して、そのことを口止めしようとするサトキは物凄く必死です。この時のサトキに関してはミーヴァが「何て目をする」と思う程の表情をしていますが、それ位サトキは自分自身が神娘であることは隠したい気持ちがあるのです。

周りは明るく元気で美しいハルカが神娘であることを望んでいて、地味な自分がそんなヒロインになることは誰も望んでいない。

こういうことって現実にもある話だと思いますよ。
明るくて人気者な人こそが中心人物にふさわしいと思ってしまうことには納得。漫画やアニメはおろか、ドラマとかに出てくるヒーローヒロインはなんだかんだ言って美形だし、そういう性格の人が多いですもの。「地味な自分なんて、目立つ存在になるのは許せない!」と私もサトキの立場だったら絶対思いそう。

そして何より、一緒にいるのが超絶美少女のハルカちゃんというのがまた運が悪いです。もしも仮にサトキだけが異世界に召喚されたのならここまで彼女が卑屈になることもなかったんじゃないかとも思うのです。隣に自分の超えられない、たどり着くことのできない存在がいるというのはなかなかストレスにもなりますし、自分により自信を持つことのできない要因になると思いますよ。
街でも電車の中でもどこでも良いですが、自分の隣に美形な人がおられると気が引けますわ!
これは私自身の経験の話ですが、前友達と出かけた先で某テレビ番組のインタビューが行われていて、スタッフが明らかにおしゃれで可愛い感じの女の子を選んでいて「やっぱりテレビ映りの良い美人の方が良いよねえ」としみじみ思わされました。あとは隣に可愛い子がいて一緒に写真を撮るのも、何か嫌。別にその人が嫌いという訳ではないのですが、後々写真を見てあまりの顔の違いにびっくりするよ。(笑)

サトキは典型的なオタク女子で、あちこちにオタクな反応があったりサトキの顔芸があったりして、漫画内にギャグな雰囲気を醸し出してくれます。主人公がヒーローヒロインな物語では味わえない、脇役のサトキから見た物語というのもなかなか新鮮です。


・脇役サトキにしかできなかったこと。脇役キャラの立ち位置。


第1巻が終了時点ではギャグっぽい感じがちょいちょいはさみこまれている感じでしたが、第2巻からは王弟ネティカによる神娘ハルカ降ろし計画が進行し、シリアスな雰囲気となっていきます。

途中ハルカを裏切ることとなるサトキは雰囲気に流されるがままの自分に絶望しますが、師匠であるミーヴァやリアリ、ルーチェ達により徐々に物語を切り開いていこうとする姿勢となっていきます。
ネティカに捕らわれたサトキを助けに来たミーヴァやリアリに対し、感情が高ぶり涙が止まらないサトキのシーンはかなり印象的です。そして師匠ことミーヴァさんと強気メイドのリアリさんが良い人過ぎる。
周囲がハルカを特別扱いしているのとは違うのですが、ミーヴァさんもリアリさんもサトキを助けようと思ってくれていて、そうやって気に懸けてくれていたと感じただけでも一読者としてだけでもほっとします。
そしてリアリさんの「どんな冴えない子でも守られるべき女の子」と、サトキに言ってくれるのもまた良い。その直後サトキが「こんな胸の大きな人に抱きしめられるの初めて」なんて言いますのでギャグな雰囲気になってしまっておりますが、この物語随一の良シーンではないかと思いますよ。

ハルカを神娘として再び仕立て上げるために、サトキは使者として国民に「ハルカこそが真の神娘」ということを伝えるというかなり重要な役割を担うこととなります。
脇役ですが、無くてはならない役割。
結局サトキはヒロインではなく最後まで脇役のままでしたが、世の中皆がヒーローヒロインなわけないですよね。そういう人達ももちろんおりますが、その周りに脇役がいて、それぞれが役割を果たしていて、ヒーロヒロインといった中心人物が偉くて、脇役はそうでないということは無いのだと思います。ただ立場が違うだけで、どんな役割だって素晴らしい。

サトキは脇役でしたが、サトキでなければ担えない役割をしっかり果たしたのだ。そう思わせてくれる物語でした。


・サトキの変化。そして物語の終わり。


物語の最後は熱い展開。燃えます。
ハルカとサトキのお互い名前呼びとか、共闘とか、師匠の笑顔とか。どうでもいい、おまけの存在からサトキが一歩踏み出して物語に絡み始めモブからサブへ、そして仲間となっていることがひしひしと感じられて良かった。
サトキにとってハルカは、自分とは全く違う、華やかで手に届かない別世界の人物だったことが作中でも語られています。スクールカーストの頂点あるいは別格にいる華やかなハルカと、クラス内でも隅に位置するサトキ。別世界に一緒に召喚されさえしなければ、2人が近づくことも無かったでしょう。脇役の自分とは遠い存在だと思っていたハルカ。そしてハルカを取り巻く異世界の中心人物達。彼らはサトキにとって遠いからこそ、サトキ自身も彼らの出来事が他人事のように感じられていた。(事実、サトキは異世界に来てから漫画やゲームを楽しむ感じでハルカ達の様子を見てましたし。)

サトキが脇役として、ハルカ達の物語に踏み込んできたこと、他人事と傍観するのではなく自分から物語の流れに入っていくことの決意の表れ、そしてハルカを遠い存在のクラスメイトではなく“友達”あるいは“仲間”として捉えているということがこの呼び方の変化の部分に凝縮されているのだと思います。
そしてそれにハルカも“サトキちゃん”と初の名前呼びで答えているんですよ!それも嬉しそうな顔で!2人がただの知り合いから友達になれた瞬間です。

激しい戦闘の最中にサトキは能力切れで元の世界に戻ることとなりますが、その直前のやりとりも熱い、熱すぎる。
師匠ことミーヴァ、リアリ、そしてルーチェ。決してハルカの様にたくさんの人に神娘として慕われて、愛されてという訳ではありませんでしたが、サトキだってミーヴァやリアリやルーチェに愛され、そして別れを惜しまれていたということは確かなこと。良かったと思える終わりでした。

〈その他感想等〉
・全2巻と短い物語ですが、ギャグありシリアスあり、サトキの成長あり、熱い展開ありでてんこ盛りでした。
・異世界におけるサトキの反応&顔芸が面白い。異世界でのヒロイン・ハルカを巡る展開が漫画とかゲームにありがちなベタベタ展開で、各所のサトキの反応に思わず同意。
・サトキ以外の登場人物が嫌がらせかと思う位いちいち美形っ!
・強気美人メイドのリアリさんは1回きりの登場だと思っていました。最後まで読んでみるとサトキにとって結構重要な役割を果たしていた登場人物だったのだと感じます。

・+αの立ち位置はpixivコミックやYahoo!ブックストアで試し読みできます。
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