「地下アイドル、職場の男にバレまして」 都 陽子 

「地下アイドル、職場の男にバレまして」 都 陽子 の感想です。
フィール・ヤング誌で「きりきりまい」という題名で連載されていたのを今のタイトルでコミックス化。
Feelコミックスを買ったのは何気に初めてです。

地下アイドル、職場の男にバレまして (Feelコミックス FC SWING)地下アイドル、職場の男にバレまして (Feelコミックス FC SWING)
(2015/02/06)
都 陽子

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〈最初に一言〉
平日は真面目な派遣社員、週末は地下アイドル。よりによってそれが職場の性悪男にバレてしまう。こういうの、何ででしょうねえ。何で性悪な人にバレてしまう?秘密にしてくれる様な性格良い人にバレればまだましなのに。


〈あらすじ〉
昼間は派遣社員として普通に会社で働くOL・田中桐子27歳。そんな彼女は週末のみ地下アイドル・石田キリとして活動中。いつもの様に秋葉原でアイドル活動をしていたら、よりによってそれを同じ職場の性悪男・平野に見られてしまう。「言うこと聞かなければ皆に地下アイドルやっていることをバラす。」と桐子は脅され、しぶしぶいうことを聞くことになるが・・・。

〈登場人物〉
・田中 桐子(たなか きりこ)/石田 キリ(いしだ きり)
昼間は普通の会社で派遣社員として働く27歳の女性。週末のみ地下アイドルとして活動中。プロ意識が高く日頃のケアやアイドル研究、練習は怠ることがない。元々は人前が苦手な大人しい少女だったがある出来事をきっかけにアイドルを志した過去がある。

・平野(ひらの)
桐子と同じ職場の男性。正社員でイケメン、身長も高く仕事もできる。男女関係なく言いたいことをずばっと言え、少々意地悪い性格。飄々としているが、桐子をストーカーから守ったりと優しい所もあり。「地下アイドルのことをバラす」と桐子を脅して、彼女を振り回す。

・竹田(たけだ)
桐子と同じ職場の男性。桐子曰く「やぼったい」。実は石田キリのファンで、桐子をストーカーしていた。

・愛染 あいり(あいぜん あいり)
桐子と同じく地下アイドルとして活動中の女性。通称アーリン。思ったことをすぐ口に出してしまう様な性格。とある事件から桐子のファンがアーリンに流れてしまう。

〈感想〉

・地下アイドルって何だ??

地下アイドルということば、ネットとかで割と目にすることがあります。
「地下アイドルって厳密に言うとどういうアイドルなんだ?」と思って検索して見ました・・・

地下アイドルとは・・・
“比較的小規模なライブを中心に活動しているアイドルのこと。別名、ライブアイドル、インディーズアイドル、リアル系アイドル。ライブ会場でのグッズ販売などにより十分な収入をあげることができ、地下アイドルだけを多数擁している芸能事務所もある。1990年代に、バラエティ番組への出演など歌手以外の活動を嫌い地道にライブ公演し始めた宍戸留美らが地下アイドルの元祖とされている。2013年現在では女性アイドルの1ジャンルとして確立しており、差別的意味合いを感じさせる「地下アイドル」ではなく「ライブアイドル」と呼ばれることも多くなってきている。メディアに露出することはほとんどない。 ”
(コトバンクより)

テレビと言ったメディアには出演せず、ライブやイベントを中心としているのが“地下アイドル”なのだそうです。
作中でもアイドルのインディーズバンド的なもの、と説明されていました。

ここ数年、アイドル戦国時代なんて言われるほどアイドルがたくさんいますが、地下アイドルだったりローカルアイドルだったり、色々な種類?のアイドルがいるんですね。


・OL兼地下アイドルな桐子。よりによってバレたのが・・・性悪男平野。

アイドルだけで生活やっているのか、バイトとか会社とかの勤め人をやりながらアイドルをしているのか、人によって違いはあると思いますが、主人公の桐子は派遣社員のOLでありながら週末のみは地下アイドルのキリちゃんとして活動しています。

会社には、地下アイドルをやっていることは秘密。話が進む内に明らかになりますが、両親にも隠しているそうです。
OLの桐子は眼鏡をかけた真面目で地味な女性という印象。可愛い髪形で、フリフリの衣装を着て歌って踊って喋る地下アイドルのキリちゃんとはまるで正反対なのです。
一見すると2人が同一人物だなんて気付かないかもしれませんね。

そんな門外不出の秘密が、よりによって同じ職場の性悪男・平野にばれてしまった!地下アイドルを皆にバラすことと派遣から正社員化をエサに、桐子は平野に振り回されてしまうのです。

意地悪男とか性悪男に脅されて言うことを聞かざるを得なくなる・・・と聞いて、TL(ティーンズラブ)の漫画とか、18禁の漫画にある様な弱みを握って「○○されたくなければエロいことさせろー」(かなり大雑把な書き方でごめんなさい)的なものを最初思い浮かべてしまったのですが、ご安心を。そんなことは無く、休日部屋に呼んでダンスを踊って見せてもらうとか、「もう夕食食べていても今からご飯付き合えー」とかそういう感じなのです。極めて健全。


・平野は本当に性悪男なのか?

さてさて次は性悪男の平野の話に移ります。漫画の紹介文とかあちこちに平野は性悪男と書かれてしまっているのですが、読み進めていくと決してただの意地悪では無いんじゃないか?と思える部分もたくさんあるんです。
確かにわざと人を振り回す様な性悪な部分もありますが、間違っていることは間違っているとしっかり言えますし、桐子の地下アイドル活動を笑ったり馬鹿にせずに「凄い」と評価してくれる。
脅して振り回す辺りは意地悪と思ってしまう面もありますが、一方で優しさとか素直さとか、飄々としている様で物凄く前向きな所が見えて「良い男性だなあ」と思えてしまうんです。そして桐子も、嫌々付き合っている内に、惹かれていくんですね・・・。


・地下アイドル=自分の居場所。

漫画の後半部分では桐子と平野が一緒にいる所が見られてしまい、どんどんファンがいなくなるという地下アイドル・石田キリの苦難が描かれます。
撮影に来るカメラ小僧やTwitterのフォロワー数ががくっと減ったり、2ちゃんで叩かれたり、違うアイドルにファンが移ったりともう桐子は大変。普段の仕事でミスが増える程の動揺です。

桐子の場合地下アイドルとしてファンに注目されることが生きがいであり、地下アイドルでいられなくなる=自分の居場所が無くなるということ。
桐子の場合、ただの目立ちたがり屋で注目されるのが好きでアイドルをやっているのではなく、地下アイドルとして立っていられる時だけは皆が自分を見て笑いかけてくれる・・・そこに魅力を感じており、自身の居場所にもなっているんですね。
単なる場所じゃなくて、自分の心の居場所なんでしょうねえ。自分の心の拠り所と言いますか。
人によって心の居場所は違うものだろうと思います。仲の良い友達の中にいることが居場所の人もいれば、サークル活動や趣味活動の場が居場所の人もいたり・・・私なんかはこのブログが居場所かもしれない。好き勝手出来ますしねえ。

そんな居場所が無くなるということはとても辛いものだと思います。実際桐子も居場所が無くなるのを見ている位なら「地下アイドルをやめちゃおうか」と考えてしまうのです。

呼んでいるこっちも「桐子はアイドルをやめてしまうのか!?」とドキドキしながら読んでしまいました・・・。
桐子が「もう終わりだ」と考えながら立ったステージ。明るくなって客席が見えた時意外な展開があり、そしてそれに平野が裏で関わっていて「平野・・・やりおるな・・・!!」と思わされました。やはり平野はただの性悪男ではありません。意地悪そうに見えて、アイドルとして頑張るキリも、夢をまっすぐ追いかけ続ける一人の女性としての桐子も、まっすぐ見つめ応援していたんだろうな・・・と思わせてくれます。


・恋愛漫画であり、一人の女性の生き様の物語。

ジャンルとしては派遣OL兼地下アイドルと意地悪な同僚の恋愛漫画に入るのですが、アイドルと言う夢を捨てきれず、働きながら二足のわらじで地道に頑張り続ける桐子の生き様を見つめる漫画だったのだと、読後感じさせられました。
夢って、なかなか叶えるのが大変です。特にアイドルなんて大変でしょう。途中迷ったりする時だってありますが、まっすぐ夢を追って活動を続けていく桐子の生き様は格好良いとしか言いようがありません。
そして、一見すると意地悪そうで実は優しい平野のキャラも面白い。主要人物が桐子だけだったらただのアイドルを頑張る女性の話で終わってしまいそうですが、平野がいることで何されるかわからないドキドキ感もあれば、意地悪な中に感じられる優しさに「平野・・・良い人じゃんっ!」と思わされる部分もあり、普通のOLでもある桐子を際立たせる部分もありでより物語に深みが増している様に思えます。より面白く感じると言いますか・・・

1巻完結と話的には短い物語ですが、凄く満足した1冊です。

〈その他感想〉
・この漫画を読んでいてちょっと比較してしまったのが「コンプレックス・エイジ」(佐久間 結衣)。
(以前当ブログでも紹介しました~→http://akamegane365museum.blog.fc2.com/blog-entry-411.html)
コンプレックス・エイジではコスプレが趣味の派遣社員・渚が主人公。コスプレ趣味は会社にも、両親にも秘密です。コンプレックス・エイジ2巻では渚のコスプレ仲間が職場に趣味のことがばれ、結局仕事をやめるに至りました。そして2巻の最後では渚のコスプレ趣味が親にバレるという衝撃の展開・・・

・平野はなかなかのハイスペック。イケメンでできる男で器も大きいって・・・とんでもないですね。まあ、漫画だから・・・こんな人がいてもおかしくないですね!

・アイドルのキリちゃんも良いけれど、普段の桐子も何か好き。結構ネガティヴ思考っていうのもアイドルの時とギャップがあって良かったです。

・竹田さんは・・・あれ犯罪じゃないのか?ストーカー・・・部屋覗いちゃ駄目でしょ。

・地下アイドルの物販・・・2ショットチェキ等の値段の高さに驚きました。あんなに・・・高いの・・・?原価なんて考えちゃ駄目です。

立読みはこちらから!
http://shodensha.tameshiyo.me/9784396766313
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