「死神ナースののさんの厄災」1巻、2巻(全2巻) 麦盛 なぎ 

「死神ナースののさんの厄災」1巻、2巻(全2巻) 麦盛 なぎ の感想です。

死神ナースののさんの厄災 1 (マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ)死神ナースののさんの厄災 1 (マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ)
(2014/06/03)
麦盛 なぎ

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死神ナースののさんの厄災 2(完) (マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ)死神ナースののさんの厄災 2(完) (マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ)
(2015/01/14)
麦盛なぎ

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〈最初に一言〉
二重人格少年鶫の昼の顔と夜の顔、あなたはどちらが好きですか?


〈あらすじ〉
舞台は昭和時代。結核患者を収容する巨大サナトリウム“命幸院”。そこに勤める看護師野ノ崎ののは周囲から“死神”と恐れられていた。彼女が担当する患者が次々に亡くなったためだ。そんなののは特別病室患者・左桂鶫(ツグミ)の専任看護を任せられることになる。驚いたことにツグミは亡くなったののの弟・時雄に瓜二つであり、夜間になると邪悪な人格が目覚める二重人格だった。鶫を担当することになったののは、巨大サナトリウムの闇とツグミの謎、そして自身の弟の死の謎に近づいていく。

〈登場人物〉
・野ノ崎 のの(ののざき のの)
巨大サナトリウム“命幸院”に勤める看護婦の女性。19歳。一人称は“僕”(これは弟の口調を真似ているらしい)。弟・時雄の死について調べるために女学校を中退し、看護学校を経て病院に勤め出したものの担当患者が相次いで亡くなり、周囲からは“死神”と恐れられている。ツグミの担当となり、段々とサナトリウムの闇とツグミの謎、時雄の死の真相に近づいていく。

・左桂 鶫(さけい ツグミ)/ツグミ
サナトリウム・命幸院に収容された謎の少年。12歳。ののの弟・時雄に容姿が瓜二つ。表向きは結核患者であるが、それは丸っきりの嘘である。昼間は無邪気で幼い少年だが、夜間になると大人びた口調の邪悪な人格が目覚める二重人格。ツグミ曰く夜の人格が本来の自分らしく、夜間時の人格は目と目を見つめるだけで人を操る能力を持つ。サナトリウムからの脱出を図る。ののが大層お気に入り。

・西脇(にしわき)
サナトリウム・命幸院の医局員である男性。冷淡な印象を受ける謎多き人物。

・竹中(たけなか)
サナトリウム・命幸院の看護部取締である女性。眉間にあるほくろが特徴的。

・ミイ坊(みいぼう)
サナトリウム・命幸院の看護婦である女性。19歳。“死神”のののに反感を持つ。

・善哉 士郎(ぜんざい しろう)
サナトリウム・命幸院の医師である男性。30歳。ののに対して歪んだ愛情を持っていた。

・小柴 雲雀(こしば ヒバリ)
2巻より登場。サナトリウム・命幸院にやって来た新しい患者。ののに容姿がそっくりであるが、男性である。常に顔に包帯を巻いている。謎が多く、ツグミと同じ能力を持つ人物。ツグミの兄弟らしい。人当たりが良く、看護婦とも親しいが一方で凶暴な面もあり。

〈感想〉

・あちこちに散りばめられた謎

昭和の結核患者サナトリウム・・・何となくそれだけだと「風立ちぬ」を思い出してしまいます。サナトリウム文学と言うジャンルもありますが、小説や物語のテーマになることも少なくはありません。

物語の序盤からたくさんの謎が散りばめられています。
ざっと書きますと・・・
・巨大サナトリウム・命幸院の闇
・ののさんの弟・時雄の死
・ツグミの謎(ツグミが二重人格になってしまった経緯、ツグミの過去等)
・時雄とツグミの容姿が瓜二つなこと
・謎多き西脇という人物
・ツグミの能力がののには通じない

2巻からはののさんとそっくりな男性・雲雀が登場し、
・ののさんと雲雀の容姿がそっくり
・雲雀の謎
・雲雀の過去
・雲雀とツグミの関係

といった謎が加わります。

こうやってあちこちに謎がある訳ですが・・・何と言っても1番大きなものは巨大サナトリウムの闇。
二重人格のツグミと関わっていくことで自ずとのの自身も近づいていきます。


・内容をどうやって言い表せばいいのか。

全体をまとめてさらっと表現すると、サナトリウムを舞台としたサスペンス、ミステリーと言った感じでしょうか。
ただ・・・それだけではなかなか漫画の印象を伝えるには言葉足らずです。

美人ナースののさんと大人びた邪悪少年ツグミのおねショタ漫画として楽しむも良し、昭和の雰囲気を楽しむも良し、そこはかとなく色っぽいののさんを楽しむも良し。


・ののさんとツグミ

後半にかけての見所は段々と謎が明かされていく部分と、ツグミに惹かれつつあるののさんとツグミの逃避行でしょうか。

最初はツグミが大好きな弟・時雄にそっくりと言うことで、ののさんの中では「今度こそ(時雄さんの様に)死なせない。守りたい。」という気持ちが強いのですが、段々とツグミ自身に惹かれていくんですね。
おそらく最初はツグミに弟の姿を重ねていたのでしょうけれど、次第にツグミ自身を好きになって来て・・・あのラストに繋がっていったのだと納得。
わざと西脇に術を掛けられて自分のツグミへの愛と言うか依存性を試すののさんは、最後、電車に乗って無事にツグミに会えたのでしょうかね。その辺りははっきり描かれていませんでしたから不明ですが、住所が分かっているのならば平気でしょう。作中ではサナトリウムの閉塞感や、暗い感じ、ドロドロとした闇の印象を受けることが多かったのですが、最後のののさんが別の病院に勤めていてツグミに電車に乗って会いに行く・・・という部分では、何故だか爽快な気分になりました。
事件が終わってちょっと落ち着いた後って、初夏の季節にふわっと風が吹いている様なイメージがあるのですが・・・そういう感じです。(服装から夏では無いみたいですね。)まあ・・・ののさんとツグミの間にある愛情はちょっと、普通とは異質で愛が重すぎる。深すぎる。その位です。だから清涼感の中にもちょっと怪しい雰囲気もあり、複雑な読後感を感じられずにはいられませんでした。

2巻完結と言うことで物語自体が短く、ツグミの家庭事情だとか(愛されていなかった?)、ののさんの弟の時雄さんの詳しい死の真相だとか、雲雀がどうなったのとか、そういった辺りは謎のままの終幕でした。
時雄さんはツグミ関係の死ではないようですが、どういう風に亡くなったのか・・気になるなあ。


・あの脳手術は・・・?

ツグミも雲雀も、西脇も善哉も・・・異能を持った人間兵器開発のための脳手術を行ったということですが、その手術と言うのを見て思い出したのがあの“ロボトミー手術”。作中でもツグミの右目に何か棒を突っ込んで脳に何かしているフィルム映像が出てきました。脳手術を行って見事成功すれば抵抗心も猜疑心も無くなるとのことですが・・・それは果たして成功なんでしょうかね。いや、逆らわず言われるがままに従って動いてくれる異能者は正しく人間兵器としては逸材か。
それにしても、一体なぜ人間兵器開発なんてやっていたのか。昭和時代ということで、戦争が迫っていたとかでしょうか。そして何故ツグミ達はそんな手術を受けることになったのか・・・また謎が1つ増えましたね。

〈その他感想〉
・ののさんはじめ看護婦の白衣についてですが、白衣に足袋と草履なのです。和洋折衷だなと思いつつ、さすがに靴を履いていたんじゃない?と感じながらネットで調べると、ありました。昔の看護婦さんで白衣に草履の方の写真。
草履を履いているというのが現代人にとってはなかなか驚きです。
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/hp-nurse/graffiti/graffiti_1.html
(阪大病院看護職員 白衣の変遷のページです。)
・昼間は幼稚なツグミが夜になるとののさんを助けてくれたりする・・・というのが良かった。邪悪な面がある少年なので、実際にいたらちょっと面倒かもしれませんが。夜の人格だと、頭に学生帽を被って眼鏡をかけていますが、それどこで調達したの?・・・ツグミ。・・・とツッコミ。昼のツグミは学生帽も眼鏡も身に付けていません。
・夜のツグミの笑顔が何か性悪。
・2巻で小野田看護長が殺されますが、眉間にほくろがあるので1巻の竹中看護部取締と同一人物と言うことで、良いんでしょうか。(作者さんが同一人物に違う名前を付けてしまったとか?ミスでしょうか?)
・雲雀は整形らしいですが、この時代に整形手術できたの!?と軽く衝撃。ネットで検索して見ると、紀元前には美容整形があったとか、なんとか色々と情報が出てきました。昔の手術って痛そうです・・・麻酔とかあったのかな?
・いちいちののさんが色っぽい。表紙からして服がはだけてます。入浴シーンもあり(サービスカット?)。ののさんと一緒にお風呂へ入りたがるツグミは思わず「エロガキ!」と言いたくなります。膝枕してもらったり、スカートの中に潜り込んだりねえ・・・。あと2巻の警察での事件辺りではなかなかグロいシーンもありますね。警察でのののさんへの拷問は見るからに痛そう。足の爪剥がしとか・・・

こちらで試し読みができます。
http://comic.mag-garden.co.jp/beats/3460.html
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