「姫と呼ばないで」1巻 地下 

「姫と呼ばないで」1巻 地下 の感想です。

最近話題の“オタサーの姫”をテーマにした漫画。
コミックフラッパーで連載中。そのインパクト大のテーマが気になり、コミック化を連載開始時から待っていたので読めて嬉しいです。

姫と呼ばないで 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)姫と呼ばないで 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
(2015/02/23)
地下

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〈最初に一言〉
オタサーの姫VSオタサーの姫。リア充女子VSオタク女子。色々な火花が見える・・・


〈あらすじ〉
美也子は地味目な女子大生。昔、“ブス”を悪口を言われたことを引きずっており少々挙動不審気味。そんな彼女が所属しているのは特撮同好会。美也子はサークルの紅一点でありいわゆる“オタサーの姫”。このサークルだけが自分の居場所であり、自分がちやほやしてもらえる所であった。そんなある時、特撮同好会に新居屋つづらが入ってくる。新居屋が来たことで美也子は「今までみたいに扱われなくなる」「自分を囲んでくれる男子を取られる」と危機感を持ち、新居屋に対抗するが・・・

〈登場人物〉
・前園 美也子(まえぞの みやこ)
地味目な女子大生。昔“ブス”と言われたことを引きずっており、いわゆるリア充な人達が苦手。特撮同好会に入っており、そこだけが自分の居場所。オタサーの姫状態だったが新居屋の加入でそれも一変。自分を囲んでくれる場所が失われると危機を感じ、新居屋に敵対心を持つ。身長が高くてすらっとした体型。影で新居屋やリア充な女子達に“のび子”(ドラえもんののび太・・・作中ではのび汰に似ているから)と馬鹿にされていることを気にしている。サークル内での通称は、みやや。

・新居屋 つづら(にいや つづら)
特撮同好会に最近入ってきたちょっと太っている女子。フリルの付いた服や膨らんだスカート、ニーハイと言った女の子らしくて可愛い服をいつも着ていて、声は甘ったるく、一人称は“にゃー”。美也子に続き、特撮同好会の“姫”となりつつある。サークルでは可愛らしい性格だが、それ以外ではなかなか性悪な面もある。高校時代からの友達・野乃花やリア充な女子達とも付き合いがあり、その中では美也子のことを「のび太(作中ではのび汰)に似ている、のび子」とネタにしているらしい。野乃花の目が離れている時は、リア充な女子達からいじめられている・・・?

・最上(もがみ)
特撮同好会のメンバーである男子。眼鏡とひげが特徴的。美也子に優しく接してくれる。授業で新居屋と知り合い、新居屋が特撮同好会に入るきっかけとなった。

・下仁田(しもにた)
特撮同好会のメンバーである男子。太った体型が特徴的。美也子に優しく接してくれる。最近新居屋と2人きりで映画を見に行った。

・間中(まなか)
特撮同好会のメンバーである男子。痩せた体型にちょっと出た頬骨が特徴的。美也子に優しく接してくれる。

・野乃花(ののか)
美也子や新居屋達と同じ大学に通う女子。新居屋とは高校時代からの友達で、新居屋のことが大好き。美人でいわゆるリア充。思ったことをすぐ口にしてしまう性格の様だが、本人にあまり悪気は無い?

・野乃花、新居屋の女友達
野乃花がいない場所では新居屋のことを「太っている」と馬鹿におり、直接新居屋に対してもそういった態度を取る女子2人。ちなみに美也子のことは“のび子”と呼んでいる。

〈感想〉

・2人のオタサーの姫

ネットでここ数年で話題になり始めた“オタサーの姫”。男性メンバー率が高い、オタクが集まる様なサークルの中にいる数少ない女性メンバーのことを指すようで、サークル内では美人でなくてもお姫様扱いをされるといった意味の様です。

オタサーの姫画像集なるものを見つけました↓(たまに違うのも混ざっているみたいですが・・・)
http://matome.naver.jp/odai/2140303961495466101
また違う記事↓
http://matome.naver.jp/odai/2139298142239142101

見た目からの典型的なイメージとしては
・フリフリの乙女チックな服
・ニーハイ
・ツインテールorツーサイドアップ

なものが画像を見る限り多いのですが、「姫と呼ばないで」の中に出てくる新居屋は正にそれを1つに固めた様な感じ。
主人公の美也子は服とか見た目は地味目な印象なので・・・典型的な“オタサーの姫”なのはどちらかというと新居屋さんの方ではないでしょうか。


・コンプレックスだらけの美也子

テーマとしてはオタサーの姫なのですが、美也子のコンプレックスの強さだったり、非リア充っぷりコンプレックスの強さっぷり?にもついつい見入ってしまう。
ブスと言われたことを引きずって挙動不審になったり、他人から陰口言われてお腹が痛くなったり・・・個人的に似た様な経験があるのでかなり共感してしまう部分がありました。

陰口とか言われるのってやっぱり、怖くありませんか?
そんなこと気にしていたらきりがない、とも思うのですが、そういうのを聞いてしまうと心臓がバクバク言いますし、汗も出るし緊張する。

美也子が新居屋や野乃花達に陰で“のび子”と呼ばれて、馬鹿にされているのを不意にトイレでの会話を聞いて知ってしまうシーンがあるのですが、本当に、日常的にこういうことって結構ある気がします。(個人的に)
誰かが聞いているかもしれないってことを考えないの!?と思う程、女子トイレって他人の会話が丸聞こえなことが多い。私もリアル女子大生だった時、学内のトイレを使用した際に水道の所を占拠する(鏡があるのでこういうこと、よくあるんです。)知らない女子達に「さっき入ってきた子誰だっけ~見たこと無いんだけど~www」と会話しているのを聞いてしまって「女子怖い!人間怖い!!」と恐怖した覚えがあります・・・(遠い目)。

本当、陰口何てあっても一利なしと思うんですけれど。こういう経験があるので自分の陰口を言われたことがあると、何となく疑心暗鬼になってその後誰かが自分の陰口言ってないかしら・・・と気になってしまう美也子の心理はよくわかります・・・。


・本当の美也子は可愛いもの好きなんじゃないか?そして、新居屋への敵対心の理由

漫画の1番最初のシーンは「小学生の美也子が漫画に出てきたお姫様に憧れて、ピアノの発表会で着たお姫様風ワンピースで学校に行くも女の子達に“ブス”と馬鹿にされる」・・・こんな苦い美也子の思い出から始まります。

そして後に出てきますが、大好きだったこのお姫様が出てくる漫画をまとめて小学生の美也子は捨ててしまうんです。おそらく、“ブス”と言われたことを気にして。

そして現在に至る。

作中にはそう描かれていませんが、美也子だって本当は可愛いものや華やかなものが好きなのだと個人的に思っています。

それこそ可愛い格好もしたいけれど、“自分はブスだから”ということを自覚してしまってとても実行できない。

だからこそいつも地味な服を着て、メイクもしない。地味に、目立たないように生きていく。

そしてそんな美也子の前に現れたのが新居屋。

「自分がサークルの男子に構ってもらえる環境」を奪われてしまうため美也子は新居屋に強い敵対心を持ちますが、その敵対心の裏には美也子の嫉妬心があるのではないでしょうかね。

新居屋は美也子曰く“デブ”な女の子で、ぽっちゃりと言ってしまえば可愛いものの、完璧な美人ではないんです。その部分だけ切り取ってしまえば美也子と同等レベルなのかもしれませんが、フリフリの乙女チックな服をいつも着ていて、語尾ににゃーとか付けちゃって、可愛い子ぶっている。
美也子からしたら・・・許せないし、堂々と可愛く振る舞う新居屋が羨ましいし、悔しいのでは?
こういう感情もあるから、余計に新居屋を敵対視してしまうのかもしれませんね。


・美也子の変化

「どうすれば自分を囲んでくれる男子達を引き留めて置けるんだろう」
そう悩んだ美也子が行ったことは・・・外見を少しでも綺麗にすること。
勇気を出して化粧品コーナーでBAのお姉さんにお化粧してもらったり、メイク+眼鏡無しで大学に行ってみたりと、新居屋への対抗のために見た目に気使い始める様になっています。

化粧品コーナーに行くのが勇気いるっていうのはわかりますね。BAさんってやっぱり綺麗に見えますし、「今までまともにメイクしたこと無いから馬鹿にされるんじゃないか」って感じて怖くなる美也子を見て「よくあるある!」って心の中で何回唱えたことか。(大丈夫!Amazonでも化粧品は買えるよ!美也子!)

“ブス”とか“のび子”とか色々と言われて、疑心暗鬼な美也子に、「じゃあお客様はこれから綺麗になるんですね!」っと返したBAのお姉さんにちょっと感動してしまいました。いやあ、商売上良い風に返してくれるのは当たり前かもしれないですが、美也子にとってちょっと一歩を踏み出す勇気を与えてくれたのには違いありませんので、実はこのシーンが好きです。

こんな風にメイクをして、メガネを取った美也子を見て、新居屋も最初はびっくりするのですが、その新居屋が美也子の手入れしていない太眉やそばかすを見て、ニヤリ、と笑うのは怖かったです。
地味に女の戦いを感じてしまいました。「メイクし出したけれど、眉毛は上手く手入れされてないし、そばかす消えてないし、下手じゃん。身長高くても胸無いし。私の方がまだ上だな。」とか新居屋が心の中で思ったのではないか?と思って恐怖。地味に女の格付けがなされているっ!


・新居屋さんの闇

主人公は美也子ですが、途中で新居屋の闇の部分も描かれています。
ちょっと説明しますが・・・新居屋は普段高校時代からの友達野乃花と仲が良いみたいです。美人な野乃花は新居屋以外の女子とも付き合いがあるみたいですが、その女子達に新居屋は馬鹿にされている。そして、それは野乃花が見ていない所で行われている。

卑怯ですねえ。

女子達に新居屋はデブとか言われたり、乙女チックな服のことやオタサーに入ったことを馬鹿にされている場面は気分が悪くなります。
意地悪な女子達は、新居屋のことが大好きな野乃花がいると新居屋には悪口が言えないみたいですが、
野乃花>女子達>新居屋>美也子
こんな感じのスクールカーストがあるんじゃないかと予想。

野乃花や女子達といる時、新居屋は美也子のことを“のび子”とあだ名を付けてネタにしているそうですが、それも自分が一番下の地位にならない様にしているための行動なんじゃないかと思うと苦しい。

この女子グループにいる時の新居屋は正に借りてきた猫状態で特撮同好会の時みたいにぶりっこしたりはしないですし、普通に喋っている・・・意地悪女子達に会うと嫌そうな顔しています。

サークル内では居場所があって構ってもらえる美也子と、サークル外で野乃花以外の女子に馬鹿にされている新居屋。
何だかこの2人、似ている気がします。この2人で友達になっちゃえばいいじゃんとかそういうことも思いつきますが、現実はなかなかそうにもいきませんよね。似ている=気が合うって訳でもありませんですし。
ですが、お互いの負の部分をさらけ出すことができれば、美也子と新居屋に関係ももっと楽になるのではないかとも感じています。現状では、お互い水面下での戦いを繰り広げる仲ですので。


・美也子の居場所は一体どこにあるのか?そして美也子と新居屋はわかりあえるか?

美也子の大学内での居場所は、仲の良い男子達に構ってもらえる特撮同好会です。
だからこそ、新居屋にそれを奪われまいと必死、必死。

特撮同好会の男子達は見た感じ、美也子の方が上だとか新居屋の方が上だとか無いみたいですが、そんなことは余所に美也子と新居屋の闘いはかなり火花が散っています。

いくつか自分の所属があって、居場所があればまだマシですが、数少ない居場所であるサークルに変化が訪れているとなると、必死になってしまうのもしょうがないか。

ただ新居屋がいじめられている事情を知ってしまった後では、新居屋もどうにか自分が居心地の良い場所を獲得するために必死なんじゃないかとも感じるんですよ。
仲良しの野乃花がいても、野乃花とつるんでいる女子達に馬鹿にされたのでは、居づらさがあるでしょうねえ。美也子は「嘘だ」なんて言っていましたが、最上君が言っていた「新居屋さんは周りに特撮の話ができる子がいなくて、特撮同好会に入ってきた」というのはあながち嘘じゃないのかも。

上にも書きましたが美也子と新居屋は見た目こそ違えど結構共通点は多いです。
ただ、まだお互いに敵対心があって、お互いのことを知っていないからそこから友情が発生するには至っていません。
共通点があるからといって仲良しになれる程人間って簡単なものではありませんが、美也子と新居屋がお互いのことを今よりもっとわかりあえたら、そこから友情に発展する可能性はあるのではないかと期待してしまいます。

特撮同好会が誰か1人の姫のためのサークルじゃなくて、美也子にとっても新居屋もとっても楽しめる、そんな場所になれれば良いのにな・・・とついつい私は思ってしまう。あまりにも綺麗過ぎるでしょうか。

ただ、まだ新居屋のキャラが掴めず何をたくらんでいるのかわからない辺りが不安要因です。
1巻の最後では美也子に一緒にコスプレしてミスコンに出ようと提案していますが、それが何を目的にしているのかがよくわからない。
美也子に恥をかかせようとしているのか、はたまた自分を馬鹿にしている女子達をぎゃふんと言わせたいのか。
個人的には、ミスコンに出るのはあまりに危険すぎるんじゃないかと思います。


・オタサーの姫美也子VSオタサーの姫新居屋の戦いとともに繰り広げられている、サークル外での女の戦い。

基本的に美也子と新居屋の間でのオタサーの姫争いがお話のテーマでもありますが、もう一つ作中で繰り広げられている戦いとしては、サークル外でのオタク系女子(美也子や新居屋)VSリア充女子(野乃花や野乃花の女友達たち)の戦いが挙げられるのではないでしょうか。

地味で挙動不審な美也子は少なくとも周囲から浮いてしまっていて、野乃花達の間ではネタにされている存在。新居屋もオタクな趣味や、服装、体型のことを馬鹿にされる。(女友達たちがアキバ系とか、萌えとか、よくわかってもいないのに適当なオタクイメージだけで新居屋を馬鹿にするシーンは虫唾が走りましたよ。)

新居屋の友達野乃花については正直好きになれないです。いくら美人で、発言に悪気が無かったとしてもさらっと“のび子”発言を美也子本人にしてしまったり、美也子のことをネタに笑っている時点で結構な性悪だなあと思います。

メイクをして、眼鏡をはずした美也子が作中で「地味な私が可愛くなったら面白くないんでしょう、馬鹿にして笑える存在がいなくなるから」といったことを心の中で野乃花達リア充女子に対して思っていますが、実際こういう女同士での格付けってなかなかドロドロしていそう。そして面倒。

美也子と新居屋がこの後どうなっていくかも気になりますが、もう一つサークル外での女同士の戦いについてもこれから注目したいところです。

〈その他の感想〉
・大学生って子供と大人の混じりあった時期だと感じます。年齢的にお酒は飲めてもまだ社会人ではないし、ビジネスライクな友達付き合いをする訳でも無いし。そして個々がより強調される時期でもあるかと。高校生までは皆お揃いの制服を着て、勉強しますが、大学は個々で授業も選択できるし、服も自由で、それまでの人生よりあらゆるものが自由。だからこそ、リア充とか非リア充とかの概念が生まれるのかも。
・せめて美也子にもオタクな女友達がいれば良かったのに・・・!
・美也子は周りに少々ビクビクしすぎで、生きるのが大変だろうなあと見ているこっちが思ってしまう程。もっと自由に生きて良いんだよと言いたくなります。

公式ホームページの試し読みはありませんでしたが、電子書籍の販売サイトで試し読みを見つけました。こちらです↓
http://bookwalker.jp/de42908c11-a791-4b90-b286-264da2dc7d6f/%E5%A7%AB%E3%81%A8%E5%91%BC%E3%81%B0%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A7-1/
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