「魔女のやさしい葬列(リリスのやさしいパレード)」1巻 黒釜 ナオ 

最近読んだ漫画です。タイトルは魔女と書いてリリス、葬列と書いてパレードと読ませています。
発売前から内容が気になり、単行本化を待っておりました!
厳密には魔法を使う魔女が出て来る様な内容ではありませんが、「人類最初の魔女」であるリリスが登場するということで魔女漫画に分類しています。

Lilith no yasasii parade

http://www.amazon.co.jp/%E9%AD%94%E5%A5%B3%E3%81%AE%E3%82%84%E3%81%95%E3%81%97%E3%81%84%E8%91%AC%E5%88%97-1-%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%82%A6%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E9%BB%92%E9%87%9C%E3%83%8A%E3%82%AA/dp/4199504575/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1434359204&sr=1-1&keywords=%E9%AD%94%E5%A5%B3%E3%81%AE%E3%82%84%E3%81%95%E3%81%97%E3%81%84%E8%91%AC%E5%88%97

〈あらすじ〉

舞台は19世紀ヴィクトリア女王治世下の大英帝国。貧乏な花売り娘・ナンシーの日課は、ロンドンの片隅にある“ブレイロック骨董店”の店番・リラに花を届けることだった。陰鬱そうな雰囲気の若店主・ブレイロックと純粋で明るい店番少女・リラ。どこからやってきたのか、何もかも謎な二人の秘密をナンシーは知ってしまい・・・!

〈感想等〉

1巻を読み終わった時点では・・・かなり謎が多くて何回か読み直して少しずつ理解していきました。

まずブレイロックとリラの秘密と言うのが、リラ=最初の魔女・リリスで、リリスに変身した時は巨大な異形の化物になる。そしてリリスは不死鬼(シスカ)という不死者の母(祖先?)であるとともに唯一の救済者であり、不死鬼に死を与えることができる・・・というもの。

この世界には人間以外に人ならざる者が生きており、1巻の時点で登場しているのが不死鬼(シスカ)とヴルコラク、そして全ての不死鬼の祖であるリリス(リラ)。

不死鬼(シスカ)・・・その名の通り不死者。不死の呪いを受けた者。ミイラの様な姿をしていて、病にかかると血も濁る。昆虫の様な牙を持つ異形の姿をしており、人を喰らう。その血を飲めば長命を得られるとのこと。不死鬼にとってヴルコラクは敵。なお、言葉を発する者そうでない者がいるようだ。

ヴルコラク・・・不死鬼を保持し、その血を飲み続けることで長命を得たもの達。見た目は若々しく、太陽の様な彩文を持つ瞳が特徴的。ブレイロックもその1人である。教会(サークル)が存在し、そこでヴルコラク1人に対して保有できる不死鬼は1人と決められているそう。なお、不死鬼の血を飲まなくなると人並みに老いていく。

リリス・・・“最初の夜の女(ラミア)”。全ての不死鬼の祖。リラのもう1つの姿である。不死鬼へ呪いを放った張本人であるとともに、唯一救済できる存在。不死鬼に死を与え、不死の呪いから救済する。


・「不老不死」は呪い。そして死による救済。

不死鬼は不死であるのですが、その不死は決して良いものではなく正に呪い。どんなに時間が経っても死ねない訳です。見た目はミイラの様にカサカサで、朽ちておりなかなかグロテスク。そして人を喰らわずにはいられない。不死鬼の男性が言う通り不死と言う病で、呪いなのです。

一方不死鬼により長命を得たヴルコラクは見た目も若々しい。不老不死の美味しい部分だけ取ったという印象です。ただ不死鬼と違って不死なのではなく、ただ長命になっているだけなのでそれを保持するためには不死鬼の存在が不可欠、という訳です。不死鬼の男性が「ヴルコラク=敵」「シスカ狩り」と言っていたことから、長命目当てのヴルコラクが不死鬼を捕まえて利用しているのかな、と予想。

そして流行っていない陰鬱なブレイロック骨董店は知る人ぞ知る店であり、様々な珍品が置かれている伝説の“魔法の店”。それを求めてヴルコラクや不死鬼が訪れるのですが・・・それもまた裏がある。
長い時間を掛けて不死鬼の病を治す珍品があるといった嘘を伝聞し(そんなもの存在しない)、それをおとりにして不死鬼を集め、リリス(リラ)が救済する(死を与える)というのが真の目的の様。当然そうなってしまえば不死鬼の恩恵を受けていたヴルコラクは1巻の眼鏡の女性のごとくそれを奪われることになり、その行為を同じヴルコラクであるブレイロック氏が進めているというのがまた謎。
一体何がブレイロックの、そしてリリスであるリラの目的なのか?というのがまだわからないというのが興味深いです。

不死鬼を救済し続けて、ヴルコラクから長命を奪い、「人間は普通に老いて死んでいくことが自然なのだ」と不老不死から完全に解き放つのが目的なのか?
それとも呪いを放ったリリスであるリラが不死鬼を救いたくて、それにブレイロックは協力しているのか?

・・・謎です。


・リリスの救済は誰がするの?抱きしめるシーンが表わすもの。

不死鬼がリリスによって救われることができるというのはわかったのですが、話を読んでいてリリスであるリラ自身はどうやって救済されるのか?という風にも思ってしまいました。仮に救済=死としてしまうならば、リリス自身に死を与えてくれる存在はいないんじゃないか?ただリリスにとっての救済が不死鬼のそれと同じとも限らないので、彼女にとっての救済というのは不死の呪いを受けてしまった不死鬼を開放することなのかもしれませんね。(ナンシーが贈った花を1日で枯らしてしまうシーンがありましたが、そこから思うにリリスは不死鬼意外にも死を与えられる可能性もあり。だから自分自身に死を与えてセルフ救済してしまうこともできそう・・・ただそれだと悲しい感じになってしまいますが。)

ただこのリリスに対する救済に関してはまだまだ別の予想があり、個人的に救済の鍵となるのが花売り娘のナンシーではないか?とも思っているのです。
リリスは異形の化物であり、不死鬼の救済シーンも食べちゃう感じなのでまず出会った人は「恐怖」を感じるでしょう。リラ曰く、今までリリスの姿を見た人達は怖がってしまい、一緒にい続けてくれるのはブレイロック氏だけだった。ただ今は花売り娘のナンシーがその輪に加わりかけており、リリスであるリラもナンシーに心を寄せている。孤独だったリリスを救ってくれる存在がブレイロック、そしてナンシーであり、それ自体がリリスに対しての救済となるのではないか?というのが今ある予想の1つです。

1巻でブレイロックやナンシーがリラを抱きしめるシーンを見て、リリス(リラ)を救うのは彼らだ!と何故だか確信してしまいました。不死鬼をはだかんぼで抱きしめて救済する・・・といったことをリラは話しているので、抱きしめる=救済という意味合いがあるのではないかと考察しています。ナンシーの役割はただの秘密を知ってしまった花売り娘だけで終わらないと思うのです。


・「魔女のやさしい葬列」をさらに楽しむために・・・作中に出てくる用語を調べてみよう!のコーナー!

今並行して読んでいる「魔法使いの嫁」にも結構妖精の名前とか聞きなれない言葉が出てくるのでちょいちょいネットで調べながら読書していますが、この「魔女のやさしい葬列」もそういう言葉が多い・・・なんせ19世紀のロンドンが舞台ですから!外国ですから!・・・ということはひとまず置いておいて、色々と、調べてみました。
ネット情報なので間違っていたらすみません!

・花売り娘
主人公・ナンシーの職業。「マイ・フェア・レディ」とかそれの原作である戯曲「ピグマリオン」でもおなじみ。作中では貧乏人の職業であると書かれているように、当時のロンドンにおける労働階級の職業だったみたいです。19世紀ヴィクトリア朝のイギリスは漫画とかフィクション作品で舞台になることが多い印象ですが、華やかなだけではなく貧富の差も激しく負の一面も持ち合わせているのだ・・・と高校生の世界史の授業で学びました。ナンシーは絶対に体は売らないと決めていますが、貧困から売春を行う女性も多かったそう。

・リリス
“人類最初の魔女”“夜の女(ラミア)”“アダムの最初の妻”と作中では語られています。調べてみると、伝承が様々あってこれこれこういう存在がリリスだ!となかなか言い切って説明することができないです・・・。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%82%B9
無数の悪霊を生んだという伝承から、作中のリリスが不死鬼のおかあさんであるという設定も来ているのではないか、と思います。
なお、アダムの最初の妻だったという話ですが、アダムと平等・・・つまり男女平等を訴えた末に別れることとなったそう。不倫とか、欲に関することが原因だと思っていたので意外な理由でした。

・ラミア
ラミアーとも呼ばれる、ギリシア神話等に登場する怪物のこと。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%82%A2%E3%83%BC
女性の頭と胸、蛇の下半身を持つ姿で描かれることが多いそうです。
またリリスをラミアと訳した例もあり、作中でリリスがラミアと呼ばれているのはこの辺が元となっているのではないかと思います。

・ヴルコラク
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%B8%E8%A1%80%E9%AC%BC
wikipediaの吸血鬼のページによると、東ヨーロッパやバルカン半島に伝わる吸血鬼伝説の1つだそうです。
作中のヴルコラク達がどこまで吸血鬼の設定を引き継いでいるのか、ただ不死鬼の血を飲む所からヴルコラクと呼ばれているのかはわかりません。

・ヴンダー・カンマー
驚異の部屋・不思議の部屋とも呼ばれる。作中ではブレイロック骨董店を訪れたヴルコラクの女性が店をこう呼んでいました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A9%9A%E7%95%B0%E3%81%AE%E9%83%A8%E5%B1%8B
wikipediaによると、“15世紀から18世紀にかけてヨーロッパで作られていた、様々な珍品を集めた博物陳列室”とのこと。
珍品の中には、人工物もあったのだとか・・・余談ですが作中でブレイロック氏が「この店にはガラクタしかないよ」とナンシーに言っているのは、ヴルコラクと不死鬼を引き寄せる人工物の珍品=本物でないガラクタが置いてあるからなのかもしれませんね。

http://matome.naver.jp/odai/2133464368776903601
naverまとめにヴンダー・カンマーの写真がありますが、なかなかグロいものもありますので閲覧注意。
私がヴンダー・カンマーを初めて知ったのは数年前なのですが、ずっと昔にこんなグロいもの/珍品集めていた人がいたんだなとかなり衝撃を受けました。

〈その他感想〉
・ブレイロックさんのジャラジャラ小物がたくさんついた服は何なんだ・・・?そして何故片方の瞳を髪で隠しているのでしょう?瞳のヴルコラク独特の彩文に何か秘密あり?
・リラちゃん無邪気可愛い。結局リラの正体は何物?リリスそのものではなく、リリスの能力を受け継いだ者とか、リリスの生まれ変わりという可能性もあり?
・銭の魔女こと守銭奴花売り娘ナンシー。(酷い言われようだな・・・)たくましいところが好きです。そして男友達ビルは・・・死んだの?生きていてほしいのですが。

「魔女のやさしい葬列」は公式サイトで試し読みできます。
http://comic-ryu.jp/_lilith/index.html
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