「宇野家の人びと」 佐保里 

「宇野家の人びと」 佐保里

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最近世界観が同じの同作者によるコミック「大人子供のカルテ」が発売されたこともあって、再読。
元々は同人誌で発表されていたお話を単行本にまとめたそうです。

ブルーライトに対して発作を起こしてしまう体質から仕事を失い、かつて自分を育ててくれたおばあちゃんのいる実家に帰ってきた青年・一希。そんな彼の前に現れたのは治験により若返った壱子ばーちゃん、その人だった。

70代のお年寄りが20代位の姿に若返り、という何ともファンタジーな設定ですが、そんな世界観で一希やばーちゃん達“宇野家”の人達の毎日が進んでいきます。

ちなみに壱子“ばーちゃん”といっても祖母っていう意味ではなく、一希にとっては親戚のおばあちゃんであり、生まれた時から両親がいなかった彼にとっては紛れもなく育ての親がばーちゃんなんです。
壱子ばーちゃん自身にはお子さんがいませんが、一希のように親に面倒を見てもらえない親族の子の世話人をしている。

さて、タイトルの「宇野家の人びと」とはどの人達のことなのか。
壱子ばーちゃん、主人公の一希、母親が入院中で身を寄せている創(はじめ)、そして壱子のことが好きで家政夫として働く若返った医師・三郎。以上が現在壱子ばーちゃんの家で生活をしている人達。一希曰く寄せ集めみたいな家族。

家にいない人達も含めるのならば、ばーちゃんの兄である故人のじーちゃん、創の母親とかも入るのでしょう。じーちゃんは3人も奥さんがいた上に愛人がいて、その愛人との間に生まれたのが創の母で、実はその創の母は一希の母親で、つまりは一希と創は兄弟で・・・と読んでいく内にそのかなり複雑な家族関係が明かされ、すごい家族だな・・・と個人的に思ったのですが、こういう家族の形っていうのもあるのか、とも感じました。ただ、創のお母さんは長男の一希を育てようとは思わなかったのかな、とかじーちゃんひどいとかそういうことは色々考えてしまった(汗)

まあそういう来るもの拒まず(?)なかなり自由な環境だからか世間一般の型にはまっていない雰囲気が宇野家にはあって、それが良い部分でもあるのかな、とも思います。
そして宇野家の中心、まるで太陽みたいな壱子ばーちゃんが優しく包み込んでくれる。
主人公の一希は職を失いこれからの未来が不安な状態ですが、壱子ばーちゃんは若くても年取っていても人生どうなるかわからないものよ、未来のことさえ考えなければ不安も好奇心に変えられる・・・と前向きな考え。
確かに、年齢を問わず先のことはわかりようがないんですよね。
壱子に恋する堅物医師・三郎も、50年前に出会ったきりの壱子と、若返った姿での再会を偶然にも果たし「人間万事塞翁が馬」と考える・・・人生どう転がるかわからない。あれこれ考えすぎて今の時間を大切に出来ないことの方がよほどもったいないのかもしれません。

それから、この三郎の50年越しの恋ももう一つの見所です。出会いから50年経って、しかもお互い若返って再会して、という何だかこれだけでSF物語ができてしまいそう。若干ネタバレですが、次回作「大人子供のカルテ」では「宇野家の人びと」の時よりちょっと恋人っぽくなった壱子ばーちゃんと三郎さんが登場していますよ。
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