私的夢十夜 

こんな夢を見た。
なぜだか知り合いの住む街へと旅行に行こうとしていた。
急に思いついて旅に出ようとしていたが1つ問題があった。旅行に行くための金が無い。結局服やらなんやら身に着けているものを全部売ってどうにか工面することにした。

そうした経緯もあって、せっかくの旅行なのに衣服を着けていない。全裸であった。当初の予定では知り合いに会いに行く予定だったのに、そのついでに別の用事を済まそうとした。私は急な坂を上り、とある石を見に行こうとしていた。この石というのはなぜ、その場所に置かれているのかが今となってはまったくわからぬ謎の塊の様な存在であった。

コンクリートの急斜面を上って、上って、時に人とすれ違うが何故だか姿に関して変な目をする人はおらず、さすが夢であった。
注意する人も、どこかに通報する人もおらず、あまりにも姿に対して触れられなかったので、目的の場所に着いた頃には自分でも気にならなくなってきていた。そうして、見たかった石を早速探すがあるべき場所に石はなく、まるで来る場所を間違えたかの様な感覚に陥る。おそらく自分の膝の高さよりも小さい石だろうと想像し、しゃがみこんで草をかき分け探してみるが、どこにも見つからない。

あらゆるものを売って旅に出たのにも関わらず、何故だかここでの私は諦めが良く、すぐに来た道を引き返し始めた。もしも現実であったら、決してこのような行動はとらないだろう。
道を下るときにまた何人かとすれ違う。数人の目がこちらを向いていたが、何が気になったのかについては特に考えなかった。

夢だからか足の疲れなども感じず、いつの間にか場面が変わり駅にたどり着いていた。駅に着いてやっと羞恥心というものが出てきたのか、服を調達することにした。
「何か着るものを貸してくれませんか」聞いた先は駅で働くおばちゃん達。
「あんた、すごい格好だね」とおばちゃん2人が返す。清掃員らしきおばちゃん1人が「ちょっと待って」と奥の事務所に行って、服を持ってきてくれた。
作業着に着替える前に着ていたものらしく、「今、ちょっとその辺で着られる服を買ってくるから、とりあえずこれ着なさい」と渡されたセーターの感触は何故だか鮮明に覚えている。
見た目よりも布は伸び縮みせず、腕を通そうとしても上手くいかず、一回脱いでまた着直した。やっと借りた服を着終えた頃には服の持ち主であるおばちゃんが消えていた。もう一人のおばちゃんから「あの人は服を買いに行ったよ」と聞く。見ず知らずの自分に、こんなに親切にしてくれたのに借りた服に対してけちをつけてしまったことを申し訳なく思いながら、その場でおばちゃんを待っている内に目が覚めた。現実ではないのに今更ながら恥ずかしさがこみあげてきて、ああ夢で良かった、と思わずにはいられなかった。

・・・

いくつか夢を見ても、忘れてしまうものもあります・・・この夢に関しては起床から何時間経っても、仕事をしても、頭の中からぱっと消えたりはしない濃い夢みたいです。

確か、夏目漱石の「夢十夜」は教科書に載っていました。ただし、授業では取り上げられず飛ばされた。でも、勝手に読んでいました。

こんな夢を見たものだから、久しぶりに夢十夜のことを思い出してネットの青空文庫で読んでみましたがやっぱり印象的なのは百年待っていてくださいの第一夜。夢の話なものだから、ちょっと不思議さもあり、あとは所々の表現がロマンチックだな・・・と思います。
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