幹本 ヤエ 「十十虫は夢を見る」4巻 感想 

幹本 ヤエの「十十虫は夢を見る」4巻を読んでの感想です。

十十虫は夢を見る 4 (ボニータコミックスα)十十虫は夢を見る 4 (ボニータコミックスα)
(2013/06/14)
幹本 ヤエ

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感想に入る前にあらすじの紹介。

舞台は昭和4年の東京市。喫茶店「十十虫(てんとうむし)」の常連客・高校生の高月英兒(たかつき えいじ)には特殊な能力があった。それは他人の夢に入り込み、必ず当たるお告げをするということ。
夢の中に高月が現れた人達は悩みや問題を抱え「十十虫」に訪れる。
そして高月は十十虫のウェイトレス・叶美和子とともにその人達の問題解決に関わっていく・・・。

といったお話です。

昭和4年は西暦1929年。昭和初期です。

ここから4巻の感想。
高月君は留年にならない程度にぎりぎりの単位をとるように計算し、授業はさぼりまくりで十十虫に入り浸りまくりの高校生。その計算がちょっと崩れたため授業に出ないといけなくなり、しばらく十十虫にこなくなるといったお話から4巻はスタートします。

高月君の通う高校の寮が舞台の話でした。
高等学校といっても今の高校ではなく、いわゆる旧制高等学校のことです。
ウィキペディアによると今の大学教養課程に値するそうです。
高等学校は受験戦争を勝ち抜いた優秀な生徒が集められるエリート集団、高月君の寮は女子禁制ということで、その辺のお嬢さん達はだいぶ高等学校というものに憧れていたみたい。
しかし、そんなお嬢さん達の期待を大きく裏切る位の実情が寮では繰り広げられていました。
高月君と同じ班の学生はかなり変わり者が多いです。
このお話で少しだけ高月君の過去にも触れられましたね。
中学校時代は妾の子だという理由でいじめられていたそうです。
このお話での事件は、高月君と野上君の中学生の頃にあった確執が原因で起きてしまいましたが・・・今回の事件のおかげでやっと2人は友達になれました。お互いに高めあうことのできる良い友人、良いライバルになれるのではないかな。

偽正チャン事件の主犯達は高等学校受験に失敗して自暴自棄状態になった若者達。その一人の吾妻はそれに加えて1923年の関東大震災で妹を失ったことも大きな心のダメージになっています。
今も昔も受験戦争ってきついのは変わらなかったんですね。財閥が設立したなんでも屋・八研調査會の一人である音々が今回の話に関わってきます。
結局吾妻の心の悲しみを埋めてくれる存在は音々だったんですね。
吾妻と音々はしばらく十十虫に入り浸るそうなのでまた再登場しそうな予感です。
音々さんも吾妻と同じである意味時代に翻弄された一人だったんですね。元浮浪児でかつてはスリを働いていて、大変な幼少期を送っていたそうです。
音々さんと吾妻の妹がどこか似ていたのは、妹さんが買った人形を音々さんが譲り受け大切にしていたからなのかもしれないです。

女流作家・川嶌深雪と忠犬ハチ、そして謎の黒マントの男のお話は切ないですね。
深雪さんとかつて恋に落ちた書生の方はやっと再会できましたが、連絡先も交換せずに別れてしまう。深雪さんも書生の方も時間を経てお互い変わってしまったから。
深雪さんはかつての恋人との再会と別れという経験を糧に、益々文芸の道を究めていくのだろうと思います。

このお話で4巻は終了します。
十十虫は夢を見るはボニータコミックスなんですが、このコミックは他の単行本に比べてページ数が多く、そのためお話のボリュームも多いのですがたっぷり読める所がお気に入りです。
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